江端さんの忘備録

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2009年 09月 22日
討ち入り
テレビのバラエティ番組で、元禄赤穂事件、いわゆる「忠臣蔵」を取り扱っていた時のことです。

小学生の娘から、「討ち入りって何」って尋ねられました。

私が、

「そうだなあ、いわゆる『テロリズム』の一つ、だな」

と答えたら、嫁さんに酷く叱られました。
2009年 09月 21日
愛せない子供はいる
私は、大学の頃、教職に進むかどうかで随分迷った時期があります。

アルバイト先の学習塾では、トップクラスの人気講師であったと思いますし、口コミで家庭教師の依頼があったりもしました。
教え方も、そこそこ上手かったのだろうと思います。

しかし、塾の講師と、学校の教職では、天と地ほど差があるだろうことは、当時学生であった私にも理解できていました。

私は、騒乱して授業を妨害する子供を許さなかったし、塾長や保護者にに捩じ込んで、その子供を退塾させるように迫ったという講師でした。
# アルバイトという気楽さがあったのは事実です。

教育というのは、そういう子供こそを、体力と精神の限界まで守り切ることだと思っています。
そして、私には、子供達の成績を上げる「技」はあるかもしれないが、子供の人格形成に責任が持てるような、立派な人間ではないことも、十分に熟知していました。

『騒乱して授業を妨害する子供を、私は絶対に愛せない』
私は、自分が教職の適格がないと断定し、教育実習にも行きませんでした。

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『教師は、魂との引き換えに成立する職業』だと思っています。
どんな職業よりも困難で、辛く、自己犠牲を伴い、しかも危険な職業だと思います。
だからこそ、我々は、「先生」を「先生」として敬っているのです。「命をかけて、子供を守り、育てている方」と信じているからです。

確固たる自我もなく、リーダーシップもなく、理想も理念もなく、私から見て、自分自身の面倒すらも見れないと思われる奴が、教職を目指していました。

あの時は、心底、背筋が凍りました。
2009年 09月 20日
小学生の頃
娘に理科の勉強を教えていますが、どうも上手くありません。

小学生の要領に入っていないような「万有引力」とか「相対性理論」の話になっていたりします。

「年周視差」の問題は、小学生の時、担任や塾の先生に、そうとう喰い下っていました(その当時、納得できていたは、覚えていませんが)ので、そこそこ説明できるのですが。

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小学生の頃というと、どうしても自宅で実験がやりたくて、やりたくて、いかにして実験室から塩酸を盗み出せるかを、腐心していました。

ようやく盗み出した塩酸を挿れた空き缶を、雑草の中に隠しておいて、その中に落葉が入りこんで、全然使えなくなって、ガッカリしていたことなども思い出してきました。

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「小学生の頃って、変なものに興味持つよなーー」と回顧している私に、
嫁さんは、「『塩酸』欲しいと思う小学生は、普通いないと思う」と言いました。

そんなことないですよね?
2009年 09月 19日
この感動を伝えたい
有限会社 高梨IT製作所さん。 ありがとうございます。
ダンロード後、300秒以内に、寄付させて頂きました。

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素晴らしい語学教育番組を提供してくださっている NHK 関係者の皆様。
または、「お話出てこい」を始めとする教育番組制作スタッフの皆様。

我が家のNHKの受信料は、あなた達の素晴しい仕事に対する対価です。

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なんで、こんな凄い語学教材が山ほど提供されているのに、「聞いているだけで」「勉強せずに」「駅前で」、高い金を払ってまで、語学を勉強しようとする人が存在するのでしょうか?
http://www.takanashi-it-factory.com/archives/450
2009年 09月 18日
「天才柳沢教授の生活」
大学院卒業時に、すべて後輩に置き土産として渡してきたのですが、久し振りに古本屋で立ち読みをしたら、身震いするような感動が戻ってきました。

「憧れる人」のでもなく、「気に入っている人」でもなく、
私は「柳沢教授」と同じ様に生きたいのです。

「学問の目的は、人生を楽しむこと」を、そのような言葉を一切使わずに語ってくれる柳沢教授に、私はなりたい。

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2〜3冊購入して、嫁さんに読ませたら、「なに!? この凄いコミックは??」と驚いていました。

モンゴル編(15巻)では、うっすらと涙も浮べながら読んでいました。
「やっぱり、私は、この嫁さん、大好きだな」を実感しました。
http://morningmanga.com/lineup/6
2009年 09月 17日
このCD、必ず取り返す!
昔、嫁さんに求婚(プロポーズ)していた頃、(そして、全然プロポーズを受けてくれていなかった頃)、嫁さんに、自分の気にいったCDを購入しては、せっせと贈っていました。

しかし、この選曲が難しかった。
クラッシックでは、そのまま放置されるかもしれませんし、ポップスでは、私の品性がつまらない方向でロックされるかもしれませんでした。
落語、漫才では、プロポーズ自体を破壊しかねない。

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という訳で、古典の邦曲ポップあたりが良いと考えました。

「ビートルズ」では、ありふれていますでしょう。
「レッドツェッペンリン」では行き過ぎですし。

という訳で「ギルバート・オサリバン」「カーペンターズ」等を手あたり次第、贈っていました。

結構、私も好きだったですし。

「このCD、いつか、必ず取り返す!」という思いが、何回ものプロポーズのモチベーション(の一部)を支えました。

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今、私は、オサリバンの、"A Woman's Place"なんぞを聞きながら、研究報告書を書いていたりします。

御参考まで。
2009年 09月 16日
マインドマップのエバンゲリオン
「マインドマップは、脳のシナプス結合の形態を模しているから、脳の機能にマッチする。従って、効率的な学習が促進される」

マインドマップの原典とも言える、トニー・ブザンの「ザ・マインドマップ」にも記載されている内容なのですが、この説明だけは『嘘だ』と思っています。

脳のニューラルネットワークは、マインドマップの形態とは似てもにつかないものです(私は、ニューラルネットワークの修士論文で大学を卒業した一人)。

また、もし冒頭の部分の説明は、「脳味噌の模型に英単語を記載しれば、たちまち暗記ができる」というくらい、滑稽な内容だと思います。

「マインドマップは、思考のツールや、報告書作成ツールとして、とても便利」くらいで良いのです。

何も、無理に「脳」の話を持ってくる必要はないのです。

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私は一日平均して5枚のマインドマップを作成しています。
マインドマップの手段なくして、仕事は考えられません。
特に特許発明に関しては、何もできなくなると思います。

お隣の国、韓国では教科書にマインドマップが取り入れられ始めており、娘の小学校でも、マインドマップを授業に導入する試みがされているらしいです。

勿論、良いことだと思います。便利なものは、なんでも取り入れるべきだと思います。

しかし、ちょっと気になるのが、なんか導入に際して「右脳がどーの、左脳がどーの」という蘊蓄(うんちく)が語られているらしいのです。

これが私には、なんともひっかかるのです。
その蘊蓄が、うさんくさいからです
(個人的には、その内容が嘘だとも思っていますが)。

「便利で、簡単で、作成時間が短い」だけで良いと思うのです。

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それと、マインドマップを小学生の学習ツールの中心に据えるのも、どうかと思うんです。

マインドマップは、便利ではありますが、万能ツールではないと思うからです。

その理由については、様々述べることはできると思うのですが、もっとも説得力のある理由は、以下に尽きますでしょうか。

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トニー・ブザンの「ザ・マインドマップ」が、普通の本として出版されているから。

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もし、マインドマップが万能ツールであるなら、第一頁から、最後のページまでマインドマップで記載されているハズですよね。
2009年 09月 15日
2つのインド(続き)
「私のインド」の中で、私が死にかけていた時、心の中で血を吐くように叫んでいたことは、

(日本のどの土地でも良い。沖の孤島でもいい。とにかく、日本の土を握りながら、死にたい!!)

でした。

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・・・なんだこれ?

私の中に、「日本の土」という観念が存在していたことに、誰より私がビックリしました。

『両親に謝りたい』でも『恋人に会いたい(いなかったけどさ)』でもなく、『日本の土を握りしめて死にたい』って、どういうことなんでしょうか。

今でも分からないままです。

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当時も今も、私は個人主義者であり、国家への帰属感など絶無だと思っていましたし、今でも間違いなくそうであろうと思っています。

国家でもなく、民族でもなく、国を愛するというのは、畢竟、「最期に、そこに還りたい」と思うことではないのかなぁ、と思ったりしています。

政治家や科学文部省のお役人の皆さん。
意味のない愛国心教育なんか、やめましょうよ。

当時、(軟弱ではあったが)大学の自治寮の寮長経験者ですら、極限の状態では、この国に抱かれ(いだかれ)ながら、土に還りたいと思ったのです。

みんな、この国のこと、きっと好きです。
2009年 09月 14日
2つのインド
「2つの中国」ではなく、また、ヒンドゥ−・イスラムの対立「印パ紛争」の話でもありません。

20年前の貧乏旅行の途中で死の淵に立った江端のインドと、
ソフト開発のプロジェクタリーダとして赴任中の、前上司Mさんのインドの話です。

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つかぬことをお尋ね致します。

○実は、地理的にインドは2つある、とか、
○ある境界点でインドは時空的に曲っている、とか
○貧乏人と、金持ち(あるいは法人がバックにいる場合)では、到着する空港が異なる、とか

そういう話を聞いたことありませんか?

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「Mさんが語るインド」には、下町の安宿で水分すら摂取できず、現実的な死に至るプロセスにあった、「私のインド」が、全然見えてこないんです。
2009年 09月 12日
なぜ分からないのか
ネットに書き込みをして、逮捕されている人が、まだ存在することを、不思議に思います。

あれほど逮捕されている人がいるのに、匿名書込みが「バレない」と思っている人が、かように多い事実に本当に愕然とします。

私はインターネットの研究にも係わった身の上であるので、はっきりと申し上げます。

○書き込みの発信元は、確実につきとめられます。
○法に抵触する行為であれば、発信者は確実に逮捕されます。

どんな通信であっても、必ず「どこか」を通過するのであり、その通過の後は「残っている」のです。
(これは犯人を特定する為ではなく、ネットワークの障害の発生等を後で調べる為に、「ログ」という形で、何年も記録されています)。

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匿名で色々書き込みしている人。
色々な意味で、やめた方が良いです。

「ログ」はシステムが停止する時までに留まらず、記録媒体に記録されて、半永久に保存され続けます。

ですから、私はこれまで匿名で書込をしたことは一回もありません(実名なら何度か)。
そんな恐しいことをする勇気がないからです。

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私が、匿名で誹謗中傷されれば、どんなに面倒でも発信元を特定します。しかも、誹謗中傷を、あえて止めないままにしておきます。

そして、10年後、一気に報復を開始します。
逃れようのない証拠を、あなたの親、恋人、家族、子供にバラマキながら。
2009年 09月 11日
MEDION BIOS -> F9
2009年 09月 10日
形容しがたい違和感
嫁さんが、町内会の子供会の役員をやっていることもあってか、我が家に「こども110番」の表札(?)を掲げることを頼まれたそうです。

嫁さんから「いいかな」と相談されたのですが、特に断わる理由もないので「いいよ」と応えました。

しかし、なんというのか「形容しがたい違和感」を感じています。

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本日、社内での事業提案を行う為に、永田町周辺にある弊社の事業部に出かけてきました。

さすがは永田町。

要人警固と思われる、厳しい視線で回りを見つづける警官がどこにいっても必ず2〜3人はいます。

そんな中、私は、待ち合わせの時間を調整する為に、交差点のそばの噴水の池の縁に、たった一人腰掛けて、パソコンを開いて仕事をしておりました。

その時の私の風体は、

○パソコン2台と周辺機器でパンパンになった黒色のリュックサックと背負い、
○腰ストライプが繋がった黒のショルダーバックを肩から下げ、
○胸ポケットに差し込んでいるiPodから出ているヘッドホンを装着し、
○腰には、腰紐が繋った携帯電話をベルトに吊しておりました。

私の回りには、白バイの警官が1人、小型の装甲車が一台と警らの警官が3人おり、時折、張りつくような視線を感じていました。

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10分も経過したころでしょうか、若いお巡りさんが、素敵な笑顔で私に話かけてきました。

『おじゃまして申し訳ありません。何をしていらっしゃるのですか』

私も、最高の笑顔を浮べて、『待ち合わせの時間で仕事をしています。あと3分20秒程度したら、移動します』と応えました。

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(でも、ちょっと遅い) と私は不満でした。

職務質問されることは、私の想定内だし、そうでなければならない。
でも、せっかくしてくれるなら、もう少し早いタイミングでしなければ。

もし私がテロリストだったら、リュックにしかけた爆弾の起爆装置のプログラムを起動してしまったかもしれません。

日本警察の初動時間に若干の不満を感じつつ、私は出張先に向いました。

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と言う話を、事業部の人に話たら、大変驚いておられました。

特に、『職務質問』という言葉に、びびっておられるようでした。

詳しくは述べませんが、私は、この手の状況は、結構場数を踏んでいるのです。

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こんな私の家が「こども110番」。

この私の中にある、形容しがたい違和感を、ご理解頂けるでしょうか。
http://www.kobore.net/boubi/HI3A0122.JPG