江端さんの忘備録
2011年04月分を表示
- ■2011年
04月 30日
-
- ・私達の取り得る2つの未来
- ルドルフ:
――
目下の所、君達が作ることを許そうと思っている発電所はどういう種類のものなんだい?
彼らはいつでもどんな発電所にでも反対してきたじゃないか
火力も地熱も、最も綺麗なエネルギーといわれる水力も環境破壊を理由に反対する
だが太陽熱発電には広大な土地が必要だし風力だって景観上の問題はどうしようもないだろう
海洋エネルギーは環境を支配している媒介変数の絡みも把握できていないし必要なデータも簡単には手に入れ難い
もしそれらが経済的に見合うようになってもだよ・・・何の問題もない方法などありはしないんだ
だから、・・・もし君が、それを覚悟の上でAなら我慢するがBは認めないと言うならばそれもいいだろう。だが、何も譲りたくないが分け前だけは欲しいと言うならオレは何も話したくない
――
(三原順著
「夕暮れの旅」)
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よろしい。
彼(ルドルフ)の言っていることは、筋が通っている。私も決めることにしよう。
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といっても、我々が取り得る案は、大きく以下の2つしかないと思います。
第1案:「A(電力が足りないこと)なら我慢するが、B(原発の存続)は認めない」
「我慢」とは、
◯毎年の季節毎の計画停電を認める
◯日本国の経済成長の停滞または下落を認容する
◯従来通り娯楽が享受できないことも諦める
◯経済大国の地位を放棄し国力の低下を容認し、他国から屈辱的な取扱(戦争や侵略等も含めて)を諦める
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第2案:「A(放射能汚染の可能性)なら我慢するが、B(電力が足りないこと)は認めない」
「我慢」とは、
◯危険水準ギリギリまでの放射能汚染下での生活を覚悟する
◯危険な放射能汚染区域からの突然の退去を容認する
◯放射能の危険(衣食住全般)を折り込み済みで今後の人生を生き、更に子供達や子孫にもそれを強いる
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「どっちもいや」は、もう許されません。
あなたは、どちらを選びますか。
私は、決めました。
- ■2011年
04月 29日
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- ・「ナッちゃん 原発編」
- 近畿地方のとある地方都市の鉄工所を舞台に、主人公の阪本ナツコは女性・零細企業といったハンディ・親類からの妨害やライバル企業との競争を乗り越え、独特の工夫と前向きな努力で地域町工場の信頼を勝ち取っていく。
東京編では、ナツコが東京都大田区蒲田の鉄工所に修行に出る。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/ナッちゃん)
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前にも書きましたが、この「ナッちゃん」は、娯楽漫画でありますが、大学の技術科教授法の授業の教材として使用されたり、国会や新聞で取り上げられたりもしています。
私にとっては、立派な技術書であり、特に自宅の改修や屋内のLAN配線等の教書です。
なにせ、取り扱う機械の仕組みや製作・修理される過程が大変丁寧に描かれているので、モノの構造が極めて理解しやすいのです。
現在、「ナッちゃん」1〜21巻、
「下町鉄工所奮闘記ナッちゃん 東京編」1〜3巻が発刊されています。
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で、提案です。
「ナッちゃん
原発編」
これしかないでしょう。
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○地震発生後、蒲田の鉄工所で被災で破損した機器の修理をしているナツコの元に、某電力会社から、制御ができなくなった原子炉の停止の依頼がかかる。
○勿論、そんなことはできないと断わるナツコ。しかし、その国家的規模で放射能汚染される危機的現状や、命を賭けて働く作業員の話を聞き、その依頼に応えようとする。
○まず、某電力会社で、核分裂の原理や原発の構造に関するレクチャーを受ける。そして、事故が発生した経緯や、コントロールできない原子炉の状況を認識し、愕然とするナツコ。
○防護服を着たナツコは、自衛隊のヘリコプターで原発の近くに着地後、ストップウォッチと被爆計測器を睨みながら、数百ミリシーベルトの放射線の嵐の中、コントロールルームへの全力疾走を開始する
○現場に到着したナツコは、持ち前の意外な発想から、水素の発生を食いとめる方法や、燃料貯蔵プールの蒸発を回避する方法、汚染水の流出の停止方法を、次々と案出する――
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もう、書いているだけでもドキドキしてくる。
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取り敢えず、我々日本国国民は、あの『くそ難しい』核分裂反応と、原子炉の原理を知ることが必要です。
そういう意味で、今月の「Newton(M9地震,津波,原発事故未曾有の大震災)」は、少々高い(1000円)ですが、「買い」です。
http://www.amazon.co.jp/ナッちゃん%201%20(ジャンプコミックスデラックス)%20[コミック]%20/dp/4088591062
- ■2011年
04月 28日
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- ・「東日本の住人」
- この夏の計画停電は、回避されるかもしれません。
私は、この夏の計画停電によって、熱射病による死者が数百人のオーダで発生すると思っていたので、少し安心しています。
(もっとも、夜間のクーラ電力は、昼間に比べて十分に小さいと思いますが)
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反原発運動の一つの言い方(スローガンといっても良いか)に「本当に足りなくなるか、原発を止めてみろ」という言葉があるそうです。
この夏、計画停電が完全に回避できたら、何かが「証明」されることになるかもしれません。
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それはさておき。
最近、街やコンビニや駅が暗くなっていることに、少しづつ慣れてきています。
◯地下街や地下鉄のホームで、点灯させていなくても見える標識は数多くある。
◯蛍光灯を半分外したところで、店舗の機能にあまり影響はないようだ。
◯仕事がなければ、とっとと帰ろう、と思える。
◯人がいないところで明々と点灯している電気に、ちょっとした憎悪を感じる。
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大阪に出張した同僚が、
『誰もいない店舗の電気のスイッチ、無意識に消しそうになった』
といっていました。
今の東日本の住人には、しっくりくる発言だと思います。
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「東日本の住人」という言葉を記載してみて、かつてのドイツや、現在の朝鮮半島を感じて、ちょっとドキッとした。
- ■2011年
04月 27日
-
- ・水素爆発の実験
- 中学1年生になる娘に、夏休みの自由研究として、
「水素爆発の実験」
をしてみないか、と提案してみました。
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娘:「なんで?」
私:「『原発原子炉圧力容器の建屋が、水素爆発で吹き飛んだ理由と、発生した水素の総量の想定を行なうこと』あたりで」
娘:「・・・」
私:「実験方法は、教えて上げるよ(*1)」
娘:「別の(研究)にするから、いい」
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最近、私の「夏休みの自由研究」の提案は全て却下され続けています。
(*1)「やさしい水素爆弾の作り方」
http://www.kobore.net/tex/alone93/node23.html
- ■2011年
04月 26日
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- ・「加害者」となる日
- 政府発表の「300ミリシーベルト」のニュースが出た時に、テレビの画面を見ながら、嫁さんに言いました。
――
我々、技術者はいつでも『加害者』だ。
何か新しいものを作って動かすということは、必ず、誰かを被害者にする可能性があるということだ。
私が考案し、設計し、テストしたシステムは、――
それが例えそのシステムの一部であったとしてもだ――
何人もの人を、それこそ1000人の人間を一瞬に殺すかもしれない。
だから『明日、大量殺人者の「妻」になるかもしれないこと』を覚悟しておいてくれ」――
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嫁さんは、頷いていたように覚えています。
- ■2011年
04月 25日
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- ・レイヤが違う
- 通信ネットワークシステムを語る時、「レイヤ(層)が違う」という言い方があります。
異なるレイヤ間で、どのような通信を行うかを議論しても、いつまで立ってもシステムは動き出しません。
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技術者:「バルブAの出力を、毎分3%で開いて、5分間継続!
10分以内に計器Bの反応値を確認したら、そのまま定常から15%を上限で維持!!20%を超えたら、その場で叫べ!」
記者:「それって、どういうことですか。危険じゃないんですか。放射性物質と放射能の違いってなんですか。どうして、国民に情報を開示しないんですか。」
技術者:「やかましい!
そこで黙って見ていろ!!
気が散るだろうが!!!」
記者:「なんだ、その態度は。あんたたちが『安全だ』と言ってきた原子炉が、制御できない状態なんだぞ!責任をどう思っているんだ!!
どうして、外国の専門家を呼ばないのか」
こんな感じでしょうかね。
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政治に係わる人は、被災地なんぞを回らなくて良いと思うんです。
被災地を回らないことを非難する人はいると思いますが、そんあことは無視して、逆に「支持率が低い」ことを「奇貨」として、本当に役に立つ場面で全力を尽して欲しいんです。
特に、海外の技術協力を取り付けることや、その事故対策の最前線でチームをまとめ上げることは、技術者には難しい領域です(というか、はっきり言って『下手』)。
目立たない活動かと思いますが、政治家の皆さんの持っている政治力で、こういう最前線のチームを纒め上げて欲しいんです。
本当に。
- ■2011年
04月 24日
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- ・違和感を感じる。
- ◯基準値の数倍から数万倍の放射能が検出されたというニュースの最期に、必ず最期に「人体に影響がない」というメッセージが付け加えらえること。
◯収束に向かっているはずの原発事故なのに、罰則規定まで持ち出して、原発20km以内の立ち入り禁止を強化していること。
◯9ヶ月で事故を収束させるという電力会社のマイルストーンに「避難住民の帰宅」が明示されていないこと。
◯「20km」に妙な符合を感じること(チェルノブイリ原発の半径20kmは今どうなっている)。
◯汚染土壌の入れ替えってそんなに簡単なのかという疑義があること(島を新たに作るくらいの予算と期間が必要ではないのか)。
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来年の今頃は、『1年前には、全く下らない杞憂をしていたもんだなぁ』と笑っていたいものです。
- ■2011年
04月 23日
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- ・けなげな時計達
- 我が家の壁時計は、すべて電波時計となっております。時刻合わせの必要がなく、とても便利で安心です。
(電波時計については、以下御参照
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20070918)
以前から、電波時計対応の腕時計も欲しかったのですが、私のニーズにマッチするものがなくて、購入を控えていました。
私は、「電波腕時計」が欲しいのであって、「カッコイイ腕時計」や「ブランド腕時計」を必要としていないのです。
#
というか、そういうものは、私にはむしろ「邪魔」
これまで針の時計を愛用していたのですが、どんなに優れているものであっても、物理的な可動部(秒針やら分針のこと)があるものは、故障率が高くなりますね。
『針を使わない電波時計がないかなーー』と思っていたのですが、それって、「単なるデジタル液晶表示の時計じゃないか」と気がつきました。
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「デジタル液晶時計」
当時、月差±30秒というのは、驚異的な精度だったのです。小学生の頃、これが欲しくて欲しくて。
――
「腕時計」ではなく、「デジタルで動く機械」を身に纏いたい
私は、今も昔も、あまり変わっていないようです。
「デジタル液晶時計」出始めた時に、なけなしの「おこづかい」をはたいて、自転車で時計屋に行きました。
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今や、「デジタル液晶時計」なんぞ、小学生の雑誌の付録に添付されるくらいの安物になりました。
実際、私が今回購入した「電波腕時計」の値段は、私が最初に自分で購入した時計より、はるかに安い。
#
なんか、小学生の私に悪いような気がする。
閑話休題
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「電波時計が復活 福島県の送信所、無人のまま再開」(2011年4月22日(金)
朝日新聞)
――
東京電力福島第一原発の事故の影響で、東日本を中心にできなくなっていた電波時計の時刻合わせ機能が21日、およそ40日ぶりに復活した。
――
時刻合わせに使う電波を出す送信所が、原発20キロ圏内にあるため職員が避難し、電波が止まっていたが、送信を再開した。
えっ?
じゃあ、我が家の壁掛け時計や私のこの腕時計達は、震災後、どうやって、時間を合わせ続けていたのか?
日本に、電波時計の電波送信所は2箇所しかありません(福島と佐賀)。
我が家の時計達は、この40日間もの間、900kmもの遠距離にある佐賀から、耳をすませて、電波の受信を試みていたのか(福島までは200km余り)。
最近、時々、腕時計が電波の受信に失敗して『使えんなぁ』と愚痴をこぼしていたのですが、とんでもない濡れ衣だったようです。
寧ろ、(単純計算で)1/20の電波強度(*1)で、よく時計を合わせ続けたものだ、と、その能力に感動しております。
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『お前をこれからも大切にしてやるからな』と、腕時計に呟いている私です。
#
そこ。「気持ち悪い」って言うな。
(*1)実測データで7.4倍差を確認
http://jjy.nict.go.jp/fs/fs_index.html
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20070918
- ■2011年
04月 22日
-
- ・5重の壁
- 電力配電システムを調べている内に、原子炉についての判りやすい資料に辿りつきました(お勧めです)。
http://www.tepco.co.jp/kouza/menu-j.html
ところで、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の「5重の壁」という、放射性物質を抑制する為の設計方法を読んで、
『おお、これは凄い!
完璧な防御手段じゃないか』
と思いながら、
―― あれ?
と気がつきました。
『なんで、たった今、世界最悪の原子炉事故と放射能汚染が、全力運転中なんだっけ?』と。
-----
なんか変だなーーと思いながら、以下のページに辿りつきました。
<<http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1057683190より抜粋>>
5重の安全?5重の壁?
こんなものに私たちは騙されていたんですか?
http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/shiryo/safety/02.html
第一の壁:ペレット
→ペレットにするのなんて当たり前じゃないか
第二の壁:燃料被覆管
→そりゃ被覆管、いるだろうよ
第三の壁:原子炉圧力容器
→容器なくってどうやって???
第四の壁:原子炉格納容器
→そりゃ原子炉むきだしじゃダメだろうがよ
第五の壁:建屋
→そりゃ雨風しのがなきゃな
↑こんな「当たり前の構造」に対して「5重の壁」とか謳っちゃう体質が今回の事故をまねきました。
<<抜粋ここまで>>
-----
私も自分なりに考えてみました。
第一の壁:ペレット
→要するに「爆薬の原料を丸薬にした」ということだな。
(但し、臨界に至り、燃焼後も2700度で冷却に10年かかるという特殊な爆薬)
第二の壁:燃料被覆管
→「丸薬」を「サランラップで棒状に固めて」持ち運べるようにしたと言うことだな。
第三の壁:原子炉圧力容器
地面で焚き火という訳にはいかないので、一定の場所に「囲った」ということだな。
第四の壁:原子炉格納容器
それを「容器にしまった」ということだな。
第五の壁:建屋
それを「部屋に入れた」ということだな。
-----
えっーと。
爆薬→丸薬
→ サランラップで棒状 → 囲う → 容器にしまう →
部屋に入れる・・・。
私もやっぱり、これで、どこがどう「安全」という話になるのか、やっぱり分かりませんでした。
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いやいや、そんなハズはない。
ちゃんと、それぞれのフェーズには「安全」を称するに足る、超最先端の安全技術が施されているハズです。
だって、原子力発電所は、世界中にいっぱいあるのですから。
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ちゃんとした技術専門書を読んで理解しますので、暫くお待ち下さい。
- ■2011年
04月 21日
-
- ・趣味は「配線」
- 「火災報知器の設置義務化」のおかげで、我が家も『堂々と』火災報知器を設置できるに至りました(合計5台)。
そもそも、私は、この手のデバイス大好きなので、部屋単位に温度・湿度センサを設置したいくらいなのですが、家族の同意は得られ難いです。
コスト面もありますが、特に、美観、プライバシーの観点から。
自分の書斎に関しては、何をしても良いということになっていますので、今私の部屋の中は、「電子の要塞」と化しております。
また、その他、庭の半分程度のイーサネットの敷設も完了し、我が家の庭では各種のセンサが稼動状態にあります。
#
家族からは「一体、何が楽しんだろう」と言う目で見られております。
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でも、「火災報知器」の法制化だけでは、まだまだ手緩いと思うんですよ
> 行政機関の皆さん。
防犯の観点から、室内の人感センサの法令化などもご検討頂きたく、お願いします。
http://www.kobore.net/soft/x10broker/index-jp.html
- ■2011年
04月 20日
-
- ・放射能レベルを可視化
- 分かりやすくて、お薦めです。
残念ながら、福島の放射線量は多いようです。
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ところで、一番右上の「豪雨」の様子でも、わずか「1ミリシーベルト/時」です。
『原発正門前300ミリシーベルト/時』で震え上がった、私の気持ち、分かって頂けましたでしょうか。
http://microsievert.net/
- ■2011年
04月 19日
-
- ・ALARA
- ロザリン:
――
この頃またあちこちで原子力発電所を作っているらしいわね。スリーマイル島以後・・・少し下火になっていたと思っていたのに!あなた達、そんなに完全に自信あるわけ?
――
ルドルフ:
―― 自信なんかありゃしないよ オレは!
会社だって知ってる。
ALARA(as low as reasonable
achievable)というのを知っているか?
『合理的に達成可能な限り低く』放射線の被爆線量を減らす、つまり経済上負担できる範囲の金で危険を――なるべく少なく――
するってのが会社の言う妥当な安全性だ。
けれどスリーマイル島事故の後、規制委員会がやたら金のかかる二百項目からなる安全性の為の『実行計画』を提出したが、それでも尚、不適当だと・・・原子力産業側でさえ考えていた
――
(三原順著 「夕暮れの旅」)
-----
恥ずかしながら、私の原発の知識は、この辺、
――
つまり、『原発は経済的にペイしない』――
で、止まっているんですよね。
ですから、
『原発を輸出するビジネスが我が国の輸出産業になる』
と聞いた時は、
――
原発の安全性のパラダイムシフトが、3段階くらいアップしたんだなあ ――
と、能天気にも(無条件に検証もせずに)思っていたのです。
-----
(再び、「夕暮れの旅」から)
NRC(米国原子力規制委員会)は今年1982年2月、原発の安全性の目標に関する政策声明文を発表し
――
しかし委員の一人は
この案には
○現在運転中あるいは審査中の原発の寿命中に
○約一万三千人が原発の事故により死亡するという暗黙の最大理論許容値が含まれている
と言った
(同著)
#
改行、○文字挿入等は、江端
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年間の交通事故の死亡者数が5000人(米国では3万人)程度とすれば、許容される数であるという判断がされたのかもしれません。
が、何か違うと思います。
http://www.amazon.co.jp/X%20day%20(白泉社文庫)%20[文庫]/dp/4592883802/ref=pd_rhf_p_t_1
- ■2011年
04月 18日
-
- ・原発事故の再発率
- 先日、東北地方を中心に、また震度6強の強い余震がありました。
東京でも長い時間揺れが続き、地震が収まるまで、私は寝ている娘を庇い続けました。
○その余震の翌日のニュース
「プールの冷却機能が一時停止したのは最大で女川の2号機の1時間21分。同1号機は53分、3号機は59分、東通1号機は26分、それぞれ停止した」
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昨日、オフィスに、複数の携帯電話からのけたたましい緊急地震速報が流れた直後、フロアが大きく揺れ出しました。
すっかり余震にも慣れたと思っていましたが、流石に昨日はヘルメットをして机の下に逃げました。
○その翌日のニュース
「昨日、11日午後5時16分に発生した余震で、福島原発の外部電源が途絶え、1〜3号機の仮設ポンプが停止、原子炉への注水作業が中断」
-----
私が今回の原発事故で学んだことの一つは、、
○原発の燃料は、稼動中だけでなく、稼動終了後でさえも、冷却をし続けないと、簡単に「活動」を再開始してしまうという事実
があり、
そして、私が今回、「余震」で学んだことの一つは、
○原発に供給される電源は、強い地震で簡単に絶たれてしまうという現実
があります。
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■大きな地震が発生すれば、送電が止まる→
送電線が切れることもあるし、安全の為に変電所が自動的にブレーカーを落すからだと思います。
■大きな地震が発生すれば、非常用発電機が壊れる→
発電機は、洗濯機と同様回転する機械であるので、地震のような巨大な加速度がかかれば、回転軸などの部品が破損してしまうからだと思います。
■電源復旧に「53分」だの「1時間21分」だのという非常識に長い時間がかかる→
原因は知りませんが(発表されていないみたいだし)、バックアップというからには、メインの給電が途絶えたら遅くとも、「数秒後」には切り替わっているものじゃないのですか(と、そろそろ腹を立て始める)。
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上記から導かれる私の所感は、
『原発のバックアップ電源は、驚く程、役に立たない』
ということです。
少なくとも、これまで言われていたような
「10万年に1回程度の確率で故障」
という感じではなく、
「3回地震があれば、1回は確実に電源が絶たれる」
という感じです。
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『大きな地震が発生すれば、―
津波が来ようが来まいが ―
福島原発同様の事故が何度でも再発する』
は、残念ながら、私の中では、「確信」に近いところまで来てしまいました。
- ■2011年
04月 17日
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- ・あなたの虎の子を出しなさい
- 16年前の被災地ボランティアについて、もう少々。
被災地の避難所になっている、体育館には、多くの衣類が寄せられていたのですが、かなり残っている状態でした。
不審に思って、その衣服を調べてみました。
私が、衣服に対して頓着も執着もなく、これまでの人生を生きてきたことは、何度か述べたと思いますが、その私ですら「カチン」とくるものでした。
『廃品同様のボロ着を送付してくるんじゃねえ!!』
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自分が一番大切にしている「虎の子」を放出するくらいの気概がないなら、やめてしまえ。
避難所はゴミ捨て場ではないぞ。
- ■2011年
04月 16日
-
- ・最近、人身事故が少ない
- 最近、首都圏では、電車の本数が少ないダイヤで、運行は比較的安定しています。
震災前には毎日のようにあった人身事故のニュースを、最近はめっきり聞かなくなりました。
自然災害大国に住む我々には、災害発生時に、自動的に「相互援助・生命優先モード」に切り替わるDNAが仕込まれている、というような気がしています。
- ■2011年
04月 15日
-
- ・茨城の工場にいってきました
私は、茨城にある事業所に、週に1度程度出張をしていたので、その事業所のある建屋に、自分用の席を作って貰っていました。
震災後、連絡が取れた後その建屋も酷く被災しているとの情報は入ってきていました。
-----
昨日、机に残してきた荷物を回収する為に、ヘルメット着用して二人以上で入ることを条件に、被災した建屋に入りました。
色々と形容することはできるのですが、なんかもう、なんと言って良いやら。
――
居室の天井が崩落して、鉄骨が露出していた
-----
震災の日、ここで多くの同僚が働いており、出張していれば、私も一緒に働いていたハズでした。
- ■2011年
04月 14日
-
- ・今は頑張らなくていいんですよ
- 命からがら逃げてきて、今日の命を生きているのがやっとの人たちに、
電気があって、御飯が食べられて、ゆっくり寝られる人達が、
よくもまあ、あれほど簡単に、
「がんばれ」
を連発できるものだと思っています。
「かならず復興する。日本人は強い。信じている」
復興する為に、被災地の人は、がんばらなければならないのか?
アンタが信じていたら、それが一体何の役に立つというのか?
-----
違うだろう。
「がんばる」のは被災地の人ではない。
幸いにして被災地にいなかった人だ。
『いままで本当に大変でしたね。当面、私達にやらせて下さい。今は頑張らなくていいんですよ』
『もう帰ってこない人もいて辛いと思うけど、でも、できるだけ早く、また同じように生活できるように、私達ができることはするから。途中で逃げたりしないから』
と、何故言えない。
-----
13年前、私が被災地に入って、ほんの少し(3日間)だけボランティアで働かせて貰った時のことです。
被災地のレポートを開示したのですが、その時に貰ったリプライへの「すさまじい違和感」を今でも覚えています。
例えば、――『被災地のハザードマップを組み込んだGPSを開発して、被災地に送ってはどうか』
あるいは、――
『通信インフラを確保する、自律型の通信中継器を開発して、提供してはどうか』
この意見は、誠に建設的かつ実用的、加えて有用な提言ではありますし、私も、被災地に出かけていかなかったら、間違いなく同じことを言っていたと思うのです。
でも違うんです。
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『違うんだ!今、本当に必要なのは、「水」「食い物」そして「屋根」だ!』
と、叫びそうになって
――
でも、黙っていましたけど。
そんなことを言ったら、誰もが萎縮してしまって、何も言わなくなってしまうと思ってしまったからです。
それは良くないことだと思いました。
-----
そして、残念ながら、今私が毎日書いている日記が、上記と同じような、的外れなことを言っているのだろうことを――
そして、また、命を守る為の日々を生き、また、命を賭けて闘っている最前線の多くの人を、無造作に傷つけているのだろうことを――
どこに向かって申し上げれば良いのか分からないまま、今、天を仰いで、お詫びしたい、と思っています。
- ■2011年
04月 13日
-
- ・レベル7
- 形容矛盾の例題を探してみました。
「国際派ナショナリスト」
「攻撃的ゴールキーパー」
「特別例会」
「人道兵器」
「ピンクの白衣」
「著名な秘密兵器」
「強制的ボランティア活動」
http://www.e-saimin.com/essay/keiyoumujun.htm
から抜粋(一部変更)
でも、これには敵わないでしょう。
「安全なレベル7」
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○レベル7(=深刻な事故)は史上最悪の原発事故とされる旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同水準。
○原子力安全委員会は、これまでに福島第1原発から最大で毎時1万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が放出され、これが数時間続いたと試算。
○INESは外部への放出量がヨウ素131等価で数万テラベクレル以上でレベル7と規定しており、保安院もこれに該当すると判断した。
(2011年4月12日(火)新聞各社)
-----
日本以外の他の国なら許される、というものではないでしょう。
しかし、
世界で唯一の原子爆弾の被爆国である我が国が、
世界で唯一の非核3原則を有し、世界に対して一貫して「核兵器の放棄」を訴えてきた我が国が、
そして、兵器としての「核」のみならず、放射能汚染としての「核」の恐しさを、先人から、これほどまでに、何度も何度も伝えられてきた我々日本人が、
人類史上最悪の原子力発電所の事故「レベル7」を成立させてしまったことは、
どのような言い訳を、
―― 百も、千も、万も、並べ立て得るとしても
――
『日本人は、世界一愚かな国民である』
と決めつけられて、
――
反論はできないと思います。
- ■2011年
04月 12日
-
- ・別に他意はありませんけど。
- 二十代後半の、ある夏のこと。
思い出すのも忌しい程嫌いな上司の命令で、
行きたくもない海外の国際学会の準備に駆り出されて、
伝わらない英語で現地のスタッフと不眠不休で働いて、
一分でも一秒でも早く長く眠りたいという所に、会社の幹部が空港に到着。
空港まで迎えにいって、翌日のゴルフやホテル部屋の手配をして、ようやく2〜3時間くらいは睡眠時間が取れるかと思っていた深夜、上司からの電話。
『若手の研究員と話がしてみたい』とのご要望で、その幹部の「お相手」をしろとの業務命令。
現地でなんの役にも立たん上に、現場の疲労をさらに困憊させる上司と幹部。
-----
ところで、昨日、首相が被災地の現地視察をしたそうですね。
- ■2011年
04月 11日
-
- ・どうしてテロの話が出てこないのか。
- 昨日の日曜日、震災から1月目の前日ということもありまして、新聞各社は、今回の震災の全体像(震災被害と原発事故)についての記載を行っていました。
原発事故の最初の対応が、別の問題を玉突きのように次々と発生させていく時系列の記載は、
――
まるで原子力の核分裂反応のよう
で、今読んでも、青ざめる程怖い内容です。
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また、今回の震災や原発事故から、我々が取り得る対策などについての見解も、各新聞社毎に、それぞれ出ていました。
しかし、私が問題提起していた、
『では、私が10人くらいのテロリストを募って、3年くらいの破壊工作の訓練を受けて、福島原発に侵入してみたらどうでしょうか』
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20110329
の「テロリスト対策」について、何の見解もないことに、かなり意外な感じを受けております。
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○テロリストが原発を襲撃する
○近隣国が原子炉をミサイル攻撃する
というのは、想定リストの上位(というかトップ)に挙がるのではないでしょうか。
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私は何か間違っているのでしょうか。
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20110329
- ■2011年
04月 10日
-
- ・「で、あなたは何ができるのですか?」
- 震災から明日で一月。
今回の震災は、「命を救うフェーズ」から「命を維持するフェーズ」に入ってきたと思います。
これからは、ボランティアが重要な戦力になります。
ですから、これから現地入りしようとしている方に、是非、リンクのレポートを読んでおいて欲しいのです。
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(16年前の、「被災地ボランティアに参加して」から一部抜粋)
学校の体育館に配りに入った時のことです。体育館には、10程度の家族がそれぞれの場所に固まって集まっていました。
ちょうど体育館の真中あたりに、セーラー服を着た少女とそのお母さんが布団の上に座っていました。
少女は、私たちの呼びかけに答えることなく、ずっと横を向いたままでした。
その顔はかすかに怒っているようにも見えました。
『あなたたちは何? 何しに来たの?何をしてくれるの? あなたたちの気持ちを満足させるために、私はここにいるんじゃないわ。』
私には彼女がそう言っているように見えてしまいました。
私を含めボランティアの人たちは、役に立ちたい気持ちが優先して、必要以上のサービスをしてしまうかも知れません。
しかし、そのサービスは被災者の方には必要のないものかも知れず、下手をすれば過度なプライバシーの侵害をしているかも知れなません。
このことはちゃんと認識しておかねばと、痛感しました。
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http://www.kobore.net/tex/alone95/node3.html
- ■2011年
04月 09日
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- ・『間違った情報に惑わされないようにしよう』
- 小学3年生になる娘が、『間違った情報に惑わされないようにしよう』と言っている震災CMを見ていて尋ねました。
娘:「パパ、間違った情報って、どういう情報?」
私:「パパにも、全然分からん」
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間違っていない情報とは、
(1)政府発表の情報
(2)テレビのコメンテータをしている学者のコメント
(3)あるいは、ニュース番組の司会者の所感
(4)ネット上に流れる各種の噂
のどれなのでしょうか。
私には分からんけど、きっとこのCMに出ている人には分かるのでしょう。
今後は、このCMに出ている本人に尋ねることにしましょう。
その芸能人の本人(か、またはその事務所)は、こんな「勇気のある発言」をするCMに出演を決めたものだと、心の底から敬意を称します。
私なら間違っても、こんな「テロップ」を喋らされるCMには、絶対出演しない。
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福島原発の事故のニュースが流れた時から、私の基準は1つでした。
○原発正門前の放射線量が300ミリシーベルトを越えるという政府発表が
○連続して
○3回出た場合、
○家を捨てて逃げる
私のシナリオにおける『原子炉破壊の要件成立』としていたからです。
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私は、一番最初の「300ミリシーベルト」の政府発表時に、
○嫁さんに荷物を纏めるように指示をして、
○自動車にミネラルウォータ24リットルを搭載して
○ガソリンを満タン状態にして
待機していました。
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『逃げるべきなのか、どうなのか、なんど江端さんに電話しようかと思ったかしれませんよ』と言う後僚に、上記の私の基準を一応教えておきました。
しかし、この私の判断基準は、政府発表の内容から鑑みれば、完全に、
『間違った情報』
になります。
原子炉から放出されている放射線(×放射能物質)が何万ミリシーベルトであろうが、放射線が届かない範囲では、絶対的な意味において『安全』だからです。
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何を信じるかは、各個人の自由ですが、少なくとも私は、自分の家族が安全なところに辿りつく前には、『逃げるべきなのか、どうなのか』について、一切コメントしません。
私が二十の頃から、個人の趣味で読み倒してきた、原発クライシスのドキュメント、文献、映画、マンガに記載された「原子力」に関する知識は、先ず自分と家族の為に使わせて頂きます。
ネットに流したりするような「親切な行為」は一切致しませんので、御安心下さい。
- ■2011年
04月 08日
-
- ・計画停電を算数してみる(その3:「900への挑戦」)
- 1万キロワット = 1 とすると、
昨年のような猛暑 6000
↓
今年皆が全力で節電
5500
↓
東京電力の最大能力 4600
―――――――――――――――――――――
この夏どうやっても足りない電力
900
現在、計画停電は5グループに分けて実施している訳ですので、1グループの強制的停電によって、ざっくり
4600/5グループ
=
920
を節電できる、と。
なるほど。
「計画」の名に値する判りやすい数値設定です。
でも、普通に考えれば、真夏の計画停電は不可避のように思えます。
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課題は明確になりました。
この夏「900への挑戦」です。
- ■2011年
04月 07日
-
- ・計画停電を算数してみる(その2)
- 待機電力とは、コンセントを差しているだけで消費してしまう電力のことです。
先ず、我が家のテレビの待機電力をリンクからご覧下さい。
http://www.kobore.net/summer-hw.pdf
#
嫁さんが、昨年の夏、憑かれたかのように計測しまくった結果です。
「テレビ(オフ)
年間2073円」
と書かれているグラフからは、0.01キロワットアワー(kWH)と読めますので、10WH(1時間に10Wの消費電力)になります。
ワットは、1秒あたりの電力量なので、10/3600
W
が待機消費電力値になります。
さて、これを、一昨日の計算と同じように、東京電力の管轄1090万世帯が、テレビ一台をコンセントから抜いたとすると、ざっくり計算して、
3万キロワット
たった1台のテレビのコンセント抜くだけで、
新宿、渋谷、有楽町の歓楽街ネオンの総計とイーブン。
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待機電力は、この他、2台以上のテレビ、HDDレコーダ、DVD、パソコン、携帯電話、ホームサーバにもある訳ですので、これらを根こそぎ引っこ抜いて、さらに法人などのコンセントなども考えて、大目に見積って10倍程度と仮定しますと、
30万キロワット
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『日本中の待機電力を全部止めたら、四国にある原発を停止できる』という話を聞いたことがありましたので、調べてみました。
伊方発電所
202.2万キロワット
日本の7000万世帯の試算で、
210万キロワット
なるほど。
日本中の待機電力を止めたら、少なくとも原発1基は止めることができそうです。
http://www.kobore.net/summer-hw.pdf
- ■2011年
04月 06日
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- ・計画停電を算数してみる(番外編)
- もしこの夏、我が国が
計画停電"0日"を達成したら、
――
100年後まで、世界に対して胸を張れる偉業になる
だろうなぁ、と思っています。
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今私は、自宅の床下の土間に布団を運んで、「寝室」とする計画を、大真面目で検討中です。
- ■2011年
04月 05日
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- ・計画停電を算数してみる(その1)
- 私
:「繁華街のネオンサインの消費電力の割合って、どのくらいだと思う?」
嫁さん:「分からないけど、相当に多いんでしょう?」
私
:「ヒントは、ビックリするくらい少ない」
嫁さん:「んーーー。10%くらいなー」
答え ――― 0.05%
(2000分の1)
# 随分昔に聞いたニュースの記憶なので、間違っているかもしれません。
#
正しい情報を知っている人は教えて下さい。
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東京電力の最大電力供給能力が、4600万キロワットとすると、
ネオンサインが使っているのが、
大体2万キロワット。
1090万世帯が、電球(60W)を一つ消してみると、
大体60万キロワット。
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我々の「ちまちました」節電は、
新宿や渋谷の歓楽街ネオンに、
「ぶっちぎり(30倍)」で勝利します。
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#4月6日に計算ミス(修正前:6万キロワット→修正後:60万キロワット)を発見したので修正しました。
- ■2011年
04月 04日
-
- ・準備は整った
- 原子力船むつの「放射線」漏れ事故は、今であっても深刻な事故であったと断言できますが、今回の福島原発事故に比べれば、幼稚園のお遊戯のようなレベルだったのだな、と思います。
その場に3時間立っているだけで死に至る放射線と、その放射線を巻き散らす放射性物質が、海に陸に大気にドカドカと流れ出しているという事実を、一体、どういう言葉で形容したら良いのか、と。
放射線を可視化できるメガネを作ったら、さぞ凄い風景が見えるんだろうな、と思います。
◯原子力船むつの漏れ出た放射船が、暗室の中にある遮光カーテンの小さな穴から差し込んだ、かすかな一条の光とすると、
◯今回の事故は、炎天下の赤道直下の真昼の太陽光線
に加えて、巨大なサーチライトを搭載した無数の船舶が24時間出港し続けている、
という感じになるのか、と。
-----
全ての日本人は、これまで言われ続けていた原発のリスクを、ライブで体験することになり、かつ、現在進行中です。
我々は、理屈では分っていても、腸(はらわた)のレベルでは理解できなかった事実を、やっと理解するに至りました。
それは、『「消せない火」というものが存在する』という事実です。
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2度の原発の大事故(スリーマイル島、チェルノブイリ)でも、私達は理解できなかった、か、または理解しようとしなかったと思います。
しかし、今や日本人の大半の大人達は、毎日のよう流れるにテレビニュースを見て、
◯原子炉の構造を知り、
◯原子力発電所の構成を知り、
◯放射線と放射性物質の違いを理解し、
◯さらには放射性物質の差異を知リ、緊急に対応しなければならないことと、そうでないことがあることを理解し、
◯安全を人任せにすることができず、単に電力会社を非難しているだけでは何にも解決できないことを理解し、
そして、
◯どこで腹を括るかの覚悟を得た
と思います。
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人類史上最悪の原子力発電所事故の被災国となることで、
ようやく私達は、
『原発と共に生きていくか否か』
を判断する準備が整ったように思えます。
- ■2011年
04月 03日
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- ・絶対的な意味において買い占める必要がないもの
- 私が22歳の時、インドの旅の途中で、赤痢の疑いをかけられていた時のことです。
床を這い擦り回りながら、数分単位でトイレの往復をしていました。体の内蔵の全てが排出されるかと思う程の、それは、形容ができないような凄まじい下痢でした。
そして、当該国の慣習にのっとり、排泄物の汚れは、手ですくった水で洗い流していました。
あのインド国の優れた最先端の習慣がなれば、私の肛門の肉は、間違いなく削げ落ちていたことでしょう。
処理が終った後の「手」は洗えば足ります。極めて、衛生的かつ合理的な習慣です。
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だいたいですね、汚れを紙で拭き取るのと、水で洗い流すのの、どちらが優れているか、比較するまでもないでしょう。
実際に、インドでトイレットペーパーを購入すると「変な顔をされる」という話は結構有名です。『なんて不潔なことを』という目で見られるそうです。
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排泄物の汚れを落す水が、1000ベクレムでも10000ベクレルでも、どんなに放射能汚染されていようが一向に構いません。
『肛門や性器を経由して、体内被曝をすることは絶無である』ということに、私は、この一つしかない『命』を賭けても良い。
(「もっと別のもの/ことに命を賭けろ」というツッコミは却下)
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結論:「トイレットペーパー」は、絶対的な意味において、買占め不要です。
- ■2011年
04月 02日
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- ・津波てんでんこ
- 震災後から丁度1週間経った3連休に、私達家族は、名古屋にある私の実家に帰省していました。
今年は正月は自宅で過ごしたので、その代わりなの帰省でしたが、連日の原発事故のニュースで、家族の中では私が一番ダメージを受けていたので、少しゆっくり睡眠をとりたいという気持ちもありました。
東名高速道路、夜7時。
駿河湾、清水港前の由比パーキングエリアから2kmの地点で、事故渋滞が発生。
左手には、窓全体に広がる真っ暗な海。
道路から海岸までは10メートルもなく、水面からの高さは3メートルもない場所。
掌がじっとりと汗ばんで来て、心臓が激しく鼓動を打ち始めました。
――
もし、あの水平線の全体に、突然一直線に白い壁が立ち上がったら
――
渋滞で車は遅々として進まず、『早く動け』と、口の中で唱え続けていました。
そして、対向車線の時速100kmの速度で走り抜けていく無数の光の線を凝視しながら、どうやって、この車をくぐり抜けて、妻と娘二人を抱えて、遠くに見えるマンションのビルの屋上に辿りつくかを、ずっと考えていました。
助手席でうたた寝をしている嫁さんに
「怖くないの?」
尋ねたら、嫁さんは薄目を開いて、一言
「みんな一緒だからね」
とだけ応えて、また寝入ってしまいました。
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「津波てんでんこ」という言葉があるそうです。
○死者・行方不明者が1200人以上に上った釜石市では、全小中学生約2900人のうち、地震があった3月11日に早退や病欠をした5人の死亡が確認された。
○しかし、それ以外の児童・生徒については、ほぼ全員の無事が確認された。
○市は2005年から専門家を招いて子供たちへの防災教育に力を入れており、その一つが「てんでんこ」だった。
○度々津波に襲われた苦い歴史から生まれた言葉で、「津波の時は親子であっても構うな。一人ひとりがてんでばらばらになっても早く高台へ行け」という意味を持つ。
(出展:3月28日読売新聞)
○三陸の人びとは、「老幼の者を助けようとして一家共倒れに」なったり「家族をさがしているうちに逃げ遅れ」たり、「点呼を取っている間に津波に呑まれ」たりしてきた苦い経験から、緊急時にあっては、とにかく「個人の判断と責任において、一刻も早く逃げる」という方針を徹底してきたというのだ。
○より詳しい解説をする人は、「てんでんこ」は、「たった一人でも生きていかねばならない」という決意および、「家族やまわりの者を助けきれなかった者(自分も)を責めてはならない」という事後の心構えをも含んでいるのだという。
○で、この「てんでんこ」の教えが、結果として、大船渡や釜石で、その教えに沿った避難訓練を繰り返してきた子供たちを、津波の被害から救うことになった、と、そういう話だ。
(出展:「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」」から、そのまま引用)
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『家族いっしょなら、死んでも構わない』
という考えは、私は入れないのです。
むしろ、
「てんでんこ」で、何が何でも生きのびて、もう一度家族全員で笑って御飯を食べる方に賭けたい。
もし、賭けに負けて、家族の一人だけが生き残ってしまったとしても、「てんでんこ」には意味があると信じています。
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『一人生き残れば、全員の勝ちだ』とは、私が飛行機に乗る前に、家族全員に必ず言うことにしている定型句です。
『私が今死んでも、だれかが生きていれば、私はその人の中で生き続ける』ということを、私は「知っている」のです。
霊魂とか、宗教とか、そんな観念的なものとは無縁の話です。
私は、生物の生態系や進化のアプローチを、システムに取り込むという研究をする機会を得て、人間というシステム(ニューラルネットワーク、DNA、遺伝など)について、一通り勉強することができました。
その時、人間というシステムの、緻密さ、周到さ、狡猾さ、そして、その美しさに感銘を受けました。
進化が果てに完成しさらに進化を続ける、人間というシステムは、自然がどのような無慈悲な天変地異を起こそうとも、易々と、私達を「消滅させる」ことはできないようにできているのです。
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――
願望でも、観念でもでもなく、科学的かつ論理的に、
私達の中で、私達が大好きだった人は、生きています。
私達が生きて行くことは、大好きだった人と共に生きて行くということです。
私は、その次の世代も、さらに次の世代でも、いつまでもしつこく生き続けて、どんなに遠い未来までをも見に行きます。
私はそうであることを「信じている」のではなく、そうであることを「知っている」のです。
- ■2011年
04月 01日
-
- ・「コーラ」で「カレー」を作る
- 1.背景
(1)先日(3月23日)、福島原発の事故の影響で、東京都の浄水場の水道水から、乳児の摂取制限の規制値を超える放射性ヨウ素が検出さた。
(2)当該検出された放射性物質は、乳幼児以外には深刻な影響を与えるものではないにも関わらず、東京ではミネラルウォータの買占めが発生した。
(3)かかるミネラルウォータは、乳幼児の授乳用のミルクに不可欠であるので、かかる買占めを行うべきではないが、将来、成人をも対象とし得る水質汚染が発生する可能性は否定できない。
2.研究の目的
(1)本研究の目的は、2011年03月26日に報告した研究報告『「お茶」で「うどん」を作る』の続報である。
(2)今回は、甘味系清涼飲料水の中でも、最もクセがあり強烈な甘味と刺激を有する「コーラ」を用いて、我が国の代表的料理である「カレー」を製作し、その食用性の成否について検討したものである。
3.結論
「コーラ」で製作された「カレー」は、食用に耐えない。
4.実験経緯
(1)カレー製作のプロセスにおいて「水」の代りに、同量の「コーラ」を使用すること以外に、特記する事項は特になし。
(2)カレールーを入れる前の段階までは、甘味の鶏肉の野菜煮込み風味であり、新しい料理への可能性が示唆されたと考える。
(3)但しこの味付は、報告者の人生において体験したことのない最初の味覚であり、これまでのいかなる料理とも比類し得ない、新規なる珍味であった。
(4)カレールーを入れて、さらに砕いた唐辛子を入れて、コーラの甘味に対抗しようとした。味見を続けている内に、米国のコロラドで食した酢豚を覚醒させるに至った。
なお米国においては、豚をジャムに合わせる調理が一般的であり、また一般的ではないが、御飯にイチゴジャムを乗せて食すという若者もいる(見た)。
(5)コーラで食材を煮たてると、水分が相当早く失われるようであり、止むなく、追加してコーラを追加させたが、この段階から、本格的な味の崩壊が始まったと推認される。
(6)完成したカレーは約4人分。小皿に取って何とか一皿を試食したが、とてもライスと合わせて食せるものではなかった。その理由について以下に考察する。
(a)まず、視覚はこの料理を「カレー」と認識するが、味覚は「カレーではない」と拒否する。
(b)脳は、過去のデータベースに基づいて、この料理に最も近い料理を検索するものの、事例を発見できず情報処理機能が破綻する。
(c)脳は、観念から「けっしてマズくはないが、このコーラが煮つかったカレーような物体は何だ?」と問い、各種の消化器に対して、食材を拒否する指令を出す。
(d)これは一種の「嘔吐感」と呼ばれるものと類似の生体反応であったことを、研究者としての報告者は否定してはならないであろう。
5.考察
(1)甘味系飲料(特にコーラの様に甘味が強烈なものは)、例え辛味系食材であったとしても対抗できない。少なくともコーラは、全ての食材の味を破壊すると考えて差し支えないであろう。
(2)しかし、(これは負け惜しみではなく)「お茶」であれば、カレーは問題なく成功したと考える。要するに、料理の最大の障害は「甘味」であると推認される。
(3)我々は非常用飲料水として、(「水」が望ましいことは言うまでもないが)可能な限り、甘味系飲料水を避けるべきである。甘味系でなければ、震災時、被災時にも、応用性の高い使用(料理への転用)などが可能である。
(4)上記について、特に国、地方自治体、NPOの各種団体に対して、強く勧告するものである。
以上