江端さんの忘備録

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2012年 10月 31日
私の魚料理
私の父の趣味は「釣り」でしたので、子供の頃は、毎週のように釣りたての魚の料理を食しておりました。

そういう魚は、スーパーで売っている切り身の魚などとは比較にならない程、美味しい訳です。

しかし、私は「釣り」が趣味という訳でもありませんし、また、それほど鮮魚に拘っている訳でもありませんので、スーパーの魚で、普通に満足しております。

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もうすぐ私の誕生日なのですが、私ではなく、家族が楽しみにしているようなのです。

―― 私の魚料理

今では、インターネットで鮮魚を注文できるサービスがあり、値段もそんなに高くはありません。

正月も、実家で、鰤(ぶり)を刺身にして、みんなで食べていました。

しかしですね、私が知り得る限り、私の誕生日は、当然私が「ゲスト」であるハズです。なぜ、私が自分の誕生日に、私が「ホスト」のように働かなければならないのか。

納得できない。

しかし、我が家では嫁さんからして「魚の目が怖い」などという情けないことを言っております。

今後、私以外に、魚の腸(わた)を取り出し、三枚におろして、刺身にしてくれる人は出てきそうにありません。

しかたないので、今年、私は私の誕生日の為に、頑張ることにします。

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ただですねえ、私の料理といっても、

■魚の三枚おろしでは、おもいっきり骨に身がタップリついている低落ですし(もったいないので、骨の部分の肉は、鍋に叩き込んで、骨から取り外して食べますが)

■煮物や鍋は、全部 CookPadのレシピを印刷して、その通りの内容を、適正なプロセス処理をしている

だけです。

なんか、愛情のこもった「料理」というよりは、生産ラインのロボットのように素材を「加工」しているに過ぎないのですが。

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それでも、「鮮魚の旨さ」に出会うチャンスがない我が家の娘達からは、圧倒的な支持を受けている訳です。

私の料理ごときが。
2012年 10月 30日
「ウェルテル効果」と言うそうです
今、「うつ病の常識はほんとうか」という本を読んでいます。

徹底した数値解析で、うつ病の「定説」に対して反論を行っている本で、実に分かりやすく、読みやすい本です。

特に興味深かったのは、

■1933年に、女子学生が、伊豆大島の三原山火口へ投身自殺をして、
■それをマスコミが扇情的に扱い、
■結果として数百人(944人というデータあり)が三原山火口へ投身自殺をした

という事件です。

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なんだ、このオリジナリティーの無さは。

自分の命をかけるなら(文字通り命をかけているが)、オリジナリティを追求せんか。

人生最後のトライアルではないか。

最後まで人マネで良いのか。

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私の世代にも、おなじような事件があったような・・、と思い、嫁さんに

「あのさ、アイドルが自殺して、その後若者が後追い自殺するという事件があったよね」

というと、

「ああ、『岡田有希子』」

と一発で、名前を出してきました。さすがは嫁さん。

まあ、それはさておき。

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それにしても、伊豆大島の三原山(標高758m)火口まで登ったのです、その女子学生は。

三原山と言えば、

1986年(昭和61年)の噴火の時は、全島の約1万人の島民が船での離島したという、歴史に残る大脱出作戦に成功して、NHKのプロジェクトXで紹介されたような

―― 現在進行形の、活火山

その火口まで接近する女子学生は、「挑戦者たち」という感じはします。

ただ、そのオチが「火口へ投身自殺」というのは、やっぱりガッカリだと思います。
http://www.amazon.co.jp/うつ病の常識はほんとうか%20[単行本(ソフトカバー)]/dp/4535983569/ref=cm_cr_pr_pb_t
2012年 10月 29日
成功の象徴
■六本木界隈をフェラーリで乗りまわす

■リゾートホテルのプールサイドでカウチに寝そべりながらカクテルを飲む

■複数の綺麗な女の子を引きつれて、夜の繁華街を闊歩する。

小説などで出てくる、「成功者」と呼ばれる人が行っている行動のサンプルです。

わからん。

これが「成功の象徴」なのか。

なるほど、これは「人に羨しがられるかもしれない」と言う点において、

または、「その行為に達することが相当に難しい」、という点において、

成功の象徴なのかもしれません。

私が、そのような立場になっていないから、「見えない」だけなのかもしれません。

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私は、

■凄い金持ちにもなっていないし、

■人を従えるような権力者にもなっていないし、

■多分、これからもその可能性もないし、

■能力もないし、

■能力を凌駕する為の努力を払う気力もありません。

従って、成功者から見たビューを、少くとも私はだけは、眺めることができないだろうと思っています。

少々寂しいことだと思っています。

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それに加えて、この様な諦観は、日常生活を、少々楽しくないものにします。

例えば、

■戦争の映画を見ていると、ヒーローとなる人によって、一瞬で殺される兵士の中に、

■トレンディドラマのオフィスラブでは、嫌味を言う上司や、窓際でお荷物になっている脇役に、

■忠臣蔵では、吉良家を守る護衛の下級武士として、最初に切られる端役の中に、

自分自身を見つけることになります。

仮面ライダーで言うところの、谷に落ちていくショッカーは、「あれは、間違いなく私だ」と思い、ショッカーの短い人生に想いを巡らしてしまいます。

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成功しない人間というのは、こういう、つまらないものが見えてしまうという点で、圧倒的に不幸であると思います。

が、まあ、それ以外については、「見えない」ことは、「見えない」が故に、幸せであることもある、と思っています。
2012年 10月 28日
午前2時のTPP
ここ2週間くらい、TPPのことばっかり考えていました。

(1)WTOがあるのに、どうしてTPPが必要になるんだろう

(2)WTOの協定は山程ある(TRIPS協定他、GATS,TRIM,DSU)が、これらが機能しているなら十分じゃんか?

(3)WTOは、最初の仕事であるドーハラウンドが「無理そう(2011年12月)」と事実上の野晒し状態

(4)WTOの前身がGATT。GATTの成立した理由は、第二次大戦後の世界の復興と、保護貿易の阻止

(5)なんで保護貿易がいかんのか?

(6)世界の国々が、気の強い数人の地主(経済大国)と小作(植民地)からなるなかよしグループ(4つ)を作った。

(7)そんでもって、仲好し同士でしか、貿易しなくなったり、むりやりグループに誰かを入れたり(満州事変等)することで発展しようとしたりした

(6)で、「売る(輸出)は大歓迎だけど、買う(輸入)はイヤ」を実現する為に、恐しい関税率(50〜100%)をかけた。

(7)その結果、どのグループも、売れなくなって、不況に陥いった。

(8)「となりのグループのメンバを、引き抜いてこようぜ」→「そうはさせるか」で、第二次世界大戦勃発

(9)なにが悪かったか。いろいろあったけど、やっぱり「保護貿易」が、まずかったかな

で、上記(4)→(1)を遡って纏めてみると、

■帝国主義諸国が経済ブロックを作って抗争したことが第二次世界大戦をもたらした

■第二次世界大戦とは、要するに「『グローバル版』国盗物語」で、目的は、年貢(金)だった。

■「貿易と関税に関する一般協定(GATT)」が制定(1948年)され、1995年にに世界貿易機関(WTO)になった。

■これらの組織の目的は、排他的経済ブロックを作ることと、保護貿易を防止して、自由貿易を推進すること。

で、ようやく、WTOまで戻れる。やれやれ。

でも、TPPまでには至っていないなぁ。

あれ? TPPって、ブロック経済の「なかよしグループ」再編?

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昨夜、2時頃に、嫁さんに、

『あのさー、TPPって、ブロック経済圏の再編のことなのかなー』

と尋ねたら、嫁さんは、

『早く寝なよ』

とだけ言って、そのまま寝室に消えました。
2012年 10月 27日
『魔法少女まどか☆マギカ』を使った人生相談
娘(次女)が、進学(ようするに「お受験」)について、モチベーションがクリアではなく、気持がフラフラしているようです。

将来の夢を尋ねたところ、ストーリーを描画する著作物の作成者(簡単に言えば、漫画家)になりたいと聞きました。

そこで、私は父親として、適切なアドバイスをする為に、

『魔法少女まどか☆マギカ』(全12回)

を、1日でぶっつづけで視聴させました。

# 「シュタインズゲート」は、第2話の最初で挫折していたようなので。

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そして、娘に言いました。

■このようなアニメやマンガを『自ら創作する側』になりたいかのか。

■それとも『他人に指示をされた通りの絵を生産する側』になりたいのか。

■自分の夢を叶えたい時、『才能』は必要条件ではあるが、十分条件ではない。

■同じレベルのライバルや、助言をくれる人や、自分の創作物を評価して、世の中に出してくれるチャンスを与えてくれる人が、

―― どれだけ、たくさん、自分の近くにいるか

ということは、無視できないくらいに大きな意味がある。

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その話を聞いた娘(次女)は、さらに困惑してしまったようです。

そして、別の娘(長女)に、

「パパの話は難しい。その上、ドロドロしすぎ」

と非難されました。
2012年 10月 26日
もっと私を褒めましょう
私は、私に向って、臆面もなくお世辞を言ったり、ご追従を並べるような奴が、

―― 大好きです。

もっともっと、私を褒めて下さい。

褒めてくれると私は嬉しいのです。

金を貰えるより、―― いや、もちろん金額にもよるけど、基本的には、金銭と比較できる程度には、褒めて貰うのが好きです。

比して、世の中は、私に対する「お世辞」「ご追従」が少すぎるように思えます。

私の著作のページを絨毯爆撃のようにリツイートして、「いいね」を格闘ゲームジョイスティックのボタンのように連打して欲しいのです。

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先日の飲み会、珍しく美味しいお酒で、私も気分よく酔っていた時のことです。

いつも陽気で調子の良い後輩が、私に話しかけてきました。

私は、こういう、思慮が浅く、軽薄で、言動に責任を持たない、そういう品性に欠ける人間が「大好き」です。

まるで、自分自身を見ているようです。

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「江端さんのエッセイは最高ですよ」

うむ、そうだろう。そうだろう。

「もう、そりゃ、東の『東野圭吾』、西の『江端智一』ってもんですよ」

うむ、そうだ ―― え? なんだって?

あの、偉大な小説家と比較されたことに対して、強烈な違和感や、猛烈な羞恥感が湧いてくるでもなく、私の疑問は一つ。

―― なぜ、私が「西」側なのだろう?

という一点に絞られていました。

―― いや、私は西でも東でもどっちでも 良いけど、 やっぱり「東」と「東野圭吾」はゴロがいいのか。それとも関西の大学を出身しているから「西」?

と、どーでも良いことを考えながら、ビールでひたひたに浸水した脳で、そのフレーズをリフレインしていました。
2012年 10月 25日
技術コラムを書く恐怖の克服方法
昨日、「技術コラムを書く恐怖」のようなものを記載させて頂きました。

私は、可能な限り、最大の努力と善意で、正しくウソのない著作の作成を目指しておりますが、そのような瑕疵なきを保証し得ません。

# こればっかりは、絶望的に、保証できないと思います。

技術分野の誤った知識の流布は、私のコラムを読む皆さんの不利益となります。

これは、今回の原発事故で、皆さんも私も、腸(ガッツ)のレベルで思い知ったと思います。

しかし、そのような不利益を恐れるあまり、私が「何もしない」というのは、私が私を楽しくさせることができません。

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という訳で、こういうコーナを作ってみました(リンク御参照)。

これで、私が、「技術コラムを書く恐怖」から抜けられるかどうか

―― それは、これからの運用にかかっています。
http://www.kobore.net/sil.html
2012年 10月 24日
拳を上げてしまうくらい「嬉しい」
先日、「安全」についての私的解釈のコラムを掲載させて頂きました。

前回、「原発」について記載して、その後のコメントで、私が腹立たしい思いをしていたことは、

2012年 10月 02日 の日記
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20121002

をご一読下さい。

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私は「安全工学」のプロではなく、またそのような知見も人脈もないので、どうしてもインターネットに頼ることになるのですが、どうしても「分からん」という事項が多くなります。

基本的に小心者なので「嘘」は書きたくない

できるだけ多くの「裏」を取りたい

報酬を軽く越える大量の書物を購入して読みまくる

でも、良く分からん

仮説を立ててみて、それに沿って文章を構成する

公開する

批判される

という、「一体、どこにメリットがあるんだ」と自分で突っ込んでしまうような、ループを、毎月繰り返しています。

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とこが、今回、私の「安全」に対する解釈に対して、「正しく」批判してくれる人が現われました。

なんと、今朝(2012年10月23日)の4時頃まで、私宛のメールを書いて頂いていたようで、内容が理路整然としており、おまけに

―― 面白い

私の代わりに執筆して貰ってもよかったなぁ、と思うくらいです。

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今回頂いた批判を元に、私の寄稿コラムを再構成しようとしたのですが、

■私の瑕疵(誤記、誤解)は、できるだけ、そのままで残しておきたい(正しい批判は広く受けたいから)

■頂いた批判文を、そのまま掲載したい(面白いから)

と思い、今、編集部の方と批判メールを頂いた方との間で、調整させて頂いております。

いいお返事が頂けると嬉しいのですが。

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技術の話は、常に真実が一つです。

# 多分、名探偵コナンより、もっと厳密な意味において「真実は一つ」

その一つを見付けるために、残りの(例えば)99個を潰し続けるという作業は、終りが見えずに、大変辛いのです。

いつでも、解釈ミスなどでビクビクしながら技術コラムを書いています。

ですから、今回のように、このように「正しく批判して頂ける方」がバックエンドに控えていると思うと、

―― 拳を上げてしまうくらい「嬉しい」

のです。

小心者のサラリーマンエンジニアとしては。
http://biz-journal.jp/2012/10/post_880.html
2012年 10月 23日
ブライトサイドとダークサイド
昨日の「オフィシャルランゲージを完全英語化した会社」でのプレゼン聴講のお話の続きです。

社内の、色々な英語公用化に関する施策が紹介されていました。

英語のプレゼンでしたが、私は、

■事前にその社長の著書を読ませて頂き、

■以前、幹部の方にインタビューさせて頂きました

ので、あまり苦労することなく、プレゼンを楽しく聞かせて頂きました。

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ただですねえ、(正直、こういう言い方は大変躊躇(ちゅうちょ)してしまうのですが)、いわゆる

『ブライトサイド』

の話ばかりで、ちょっと「お腹いっぱい」という感じを免れませんでした。

特に、海外赴任プログラムの紹介での、

■仮装パーティの写真とか、

■国立公園での記念写真とか、

■外国の同僚とのオフィスでの写真とか、

こういう海外生活の紹介の仕方は、(少なくとも私には)、もう飽き飽きなんですよ。

得に、サンフランシスコだの、トロントだの、ロサンゼルスだの、そういう、むやみやたらに「明るい地区」の話は、私には、非常に・・まあ、なんと言うか、

―― 楽しくない

米や葱(ネギ)だけを手にいれるためだけに奔走していたコロラド州の元住人

であって、

インドで赤痢に罹患(確証なし)して、死線を彷徨った元旅人

としては、このような地域の話は、あまり・・いや、正直に言うと、全く、愉快ではないのですよ。

私としては、もっと、

『ダークサイド』

の話が聞きたいのです。

例えば、

「あの国の国民は、嘘つきで、傲慢で、一緒に仕事をしていて、なんど殴ろうかと思ったことか」

とか、

「食あたりをして、死線を彷徨った(さまよった)。あんな国なんぞ、消滅してしまえば良いと、なんど思ったことか」

とか、

さらに、(完璧にプレゼンをぶち壊しかねませんが)

「結局、日本が一番で、日本語が一番ですね。ストレスがないのが一番ですよね」

という、本音のプレゼンテーションが聞きたかった、と心底から思うのです。

# いや、そういう方は、あの会社には一人もいないかもしれませんが。

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もし、『ブライトサイド』の話と、上記のような『ダークサイド』の話が、バランス良くされているプレゼンテーションを聴講できれば、

私は、全私財を投じても、この「オフィシャルランゲージを完全英語化した会社」の株を買うだろう、という、かなり深い確信があります。

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スタッフの皆さん。大変、ご苦労さまでした。

とても有意義な時間を過させて頂きました。

来年も伺うつもりです。

来年は、是非、私の意見を取りいれて ―― って

そりゃ、やっぱ無理かな。
2012年 10月 22日
平和を望んでいる民衆が、平和を望んでいないという矛盾
昨日、お誘いを受けて、インターネットサービスで著名な会社のセミナーの聴講にいってきました。

# オフィシャルランゲージを完全英語化した会社

"How to resolve conflict"という題目を見て、「プログラム開発での問題点の解決方法だな」と思い込んで、カンファのエリアに行ったら、

―― ソマリア、スーダン、ケニアなど、現地で紛争解決に従事している方が出てこられた。

あれ、間違えた、と思ったのですが、そのまま聴講していました。

お話が非常に興味深かったので、一部ご紹介を。

なぜ、一部の紹介なのか。

英語でのプレゼンであり、全部を完璧に理解できたと思えないので。

ま、それはさておき。

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■その1:平和を望んでいる民衆が、平和を望んでいないという矛盾

→10歳にも満たないころから、兵士として訓練された子供達は、平和となった後で、生きていく手段を持たない。

→平和は、彼等に対して、必ずしも「平和」ではない。戦争で死ぬか、平和で死ぬかの違いに過ぎない。

■その2:2050年に、日本のGDPは8位まで転落し、ナイジェリア(アフリカ)は16位(11位?)まで上昇している。

→単なる「援助国」としてだけ付き合っていると、将来痛い目にあう。

# 2050年のGDPに関しては、諸説あるようです。

■その3:紛争国は技術的ステップアップが簡単

→アフリカでは、SMSやATMの利用が普通であり、携帯電話の普及率は90%。先進国が技術開発に膨大な投資をしているが、アフリカは、その「結果」だけを得られる、優位な立場にいる。

結論。

■平和が簡単に実現すれば、それに越したことはないが、それは相当に難しい。

■平和へのアプローチを実現する、具体的かつ効率的な手段は「教育」である。職業訓練が有効。特に農業や計測等。

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生きていく為には、飯(メシ)と学(ガク)。

普遍的な真理だなぁ、と思いつつ、我が身を省みると、

少なくとも、私達は、英語の数学も、相当なこと(加えて、それなりに高度な内容を)を沢山教えて貰って、すでに身につけている。

「銃の使い方」以外にも、色々できることはあるハズだ。

だから、

―― 就活やリストラ程度で、ビビるな。私達。
http://www.jccp.gr.jp/
2012年 10月 21日
ネット犯罪予告で成功する方法(その後)
ネット犯罪予告の方法について、3ヶ月程前にコラムを寄稿したのですが、どうやら(概ね)その通りのことが実施されてしまったようです。

http://biz-journal.jp/2012/07/post_458_3.html

■先日、警察に呼び出されて、事情聴取を受けました。

■また、マスコミのインタビューを数え切れない程受けるに至りました。

■件数があまりにも多くなくなったので、会見をセッティングしたのですが、
記者から、

「一体、この状態をどうするんだ!」

「社会的な道義を、どのように考えているんだ!」

と、怒号のような質問を受けて、青ざめていました

―― ってことが、ないかなぁーーーと思っていたのですが。

全然、そういうことになりませんでした(上記の■は全部ウソ)。

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驚いているんですよ。

警察には、サイバー犯罪の特殊専門部があって、私の想定するようなことは、すべて考慮がされた上で、犯人を特定している、と思っていたのですが、

「IPアドレスだけ?」

そんなもん、証拠不十分で公判が維持できるわけないじゃん、と。

基本的には、IPアドレスは、ヤサ(被疑者の住居)を押えるもので、立件するには、通信中のリアルタイムログの記録。

そして、被疑者の行動を連動させるところまでやって(つまり、踏み込んで、メールを書いている現場を押える→現行犯逮捕)、ようやく証拠として成立すると思っていたのですが。

私なら、弁護士不要で、請求棄却(民事)、無罪判決(刑事)に持ち込む自信があります。

それにしても、我が国の法の番人のITリテラシが、この程度か、と

―― 本当に愕然(がくぜん)としています。

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というか、今回の「偽装メール事件」は、民間人に与えた影響が大きかったと思います。

私が、この夏に、「偽装メール」の方法を解説したコラムを寄稿したと聞いて、ビックリしていたようです。

「なんで、よりによって、今、このタイミングで、そんなコラム書くのよ!!」

3ヶ月も前のコラム寄稿で、責められてもなぁ、と思いつつ、

「なんでって、私に『そういうコラムを書くことが期待されていたから』・・かなぁ」

と応えておきました。

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「私達も、こういう犯罪に巻き込まれる可能性があるの?」

と尋ねられたので、正直に言っておきました。

「あるよ」

「というか『ない』という可能性が見あたらないくらい『ある』」
http://biz-journal.jp/2012/07/post_458_3.html
2012年 10月 20日
ビジネスチャンスとしての「飛び込み自殺」
人身事故だけでなく、最近は天候などが原因で、電車の運行ダイヤが乱れているようです。

安全を確保しながら、線路の上に可能な限りの電車を乗っけて、大量輸送をするのは、確かに難しいと思います。

しかし、

「運行ダイヤは、乱れているのが普通」

という感じになってきてやしないか、心配になってきます。

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「人身事故」、まあ、ぶっちゃけて言えば、「飛び込み自殺」は、自殺者の意思が行っているものではなく、病理から発生する「事故」です。

人間、というか全ての生命は、自分の意思では「死」を選択ができないように作られているそうです。

ということは、「飛び込み自殺」は、その「停止機能」が壊れている状態であると言えます。

そもそも「人間」という壊れ易いシステムであって「絶対に壊れるな」というのは、「一生、病気になるな」と言うのと同じくらい無茶な話です。

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今後、この「飛び込み自殺」が減少していく可能性は、絶望的に低いでしょう。

大体ですね、昭和初期の、日中戦争や満州侵略等、あの絶望的に「お先真っ暗」な時代であって、「自殺者が年間1万人を越えた」といって、大騒ぎしていたのです。

それが、今や、年間3万人。

自殺者数から見れば、今や「真っ暗」より「漆黒の闇」な時代と称呼するのが相応しいのかもしれません。

ともあれ、鉄道会社は、もう「飛び込み自殺」という名の「人身事故」を、投資計画(ホームゲートの設置等)や、鉄道運行管理システムの要件として当初から組み込込んでシステム設計をすべきでしょう。

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加えて、携帯電話を使った乗換案内サービスなどが、この運行管理サービスの劣化を、際立たせる、と。

自分が、人身事故や天候などによって、

「どれだけ時間を損失させられたか」

が一目瞭然。

これらのサービスが、ただでさえダイヤの乱れでイライラしている鉄道利用者達のストレスを、さらに上げていくという、負のループバックが形成されているように思えます。

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という訳で、本日の提言です。

1.インターネットサービスプロバイダへの提言

(1)飛び込み自殺の規模を推測し、さらにリスケジュールを迅速におこなう推論エンジンによる新サービスの実施

2.鉄道会社への提言

(1)飛び込み自殺等に対応した、リアルタイムの運行スケジュール再構築システムの開発

(2)および、利用者へのリスケジュール情報の迅速提供の実施

特に鉄道会社へのお願いなのですが、いい加減に、鉄道会社各社は、運行状態をリアルタイム(タイムラグ10秒程度)でインターネットに開示するサービス(又はインターフェースの開示)を始めて下さい。

クレームの電話の嵐(『なんで、そっちの電車を先に動かすんだ!!』等)を、心配する気持は分かります。

しかし、気持のこもっていない「申し訳ございません」を連発されるよりは、はるかにマシです。

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『お前は、「飛び込み自殺」までも、ビジネスチャンスにするのか』と批判する人もいるかもしれません。

この機会に、はっきりと申し上げます。

私は、「『飛び込み自殺』までもビジネスチャンスとする」エンジニアです。
2012年 10月 19日
人を身なりで判断してはならない
本日、電車(小田急江ノ島線)に乗っていたら、

■向って左側の席に座っていた、冴えないくたびれたスーツを着ていた中年サラリーマン風のおじさんは、パソコンで「DNA解析」に係わるレポートの執筆をされていました(覗き見しました)。

■向う側の座席に座っていたホームレスの風体をしていたおじさんは、赤ペンで「競馬新聞」ではなく「英語の論文の査読」(のように見えた)の作業をしていました。

そして、こちらは、別の日のことですが、

■チャンチャンコみたいな服を着ていた、風体が貧乏くさい初老のおばさんが、「ドイツ語で記載された学会のアジェンダ」のタイムテーブルに見直しをかけていました。

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『人を身なりで判断してはならない』というのは、道徳的観念から導かれた、諺(ことわざ)ではなくて、

―― 少くとも、小田急江ノ島線の列車の中では、

真実です。
2012年 10月 18日
下妻物語
先日、外国に行ってきたのですが、珍しく飛行機内で映画を見ていました。

それも、往路も復路も同じ映画を見ました。

「下妻物語」

深田恭子演じるロリータ娘と、土屋アンナ演じるヤンキー娘という意外な組み合わせギャグ映画。

この二人を、宮迫博之、樹木希林、阿部サダヲという、もうこれ以上もないくらい、濃い芸人を沿えて、もうなんと言ったら良いのか、もう、

―― 最高

もし私が、歌手になったなら、伊武雅刀の「子供達を責めないで」を歌い、

もし私が、脚本家になっていたら、この映画の脚本を担当するのだ、

と思いましたね。

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もう、セリフが「いけている」んですよ。

今でも、ヤンキー娘、白百合イチゴのセリフが、胸に去来します。

========

こいつはよ、桃子はいっつも一人で立ってんだよ

自分が決めたルールだけを信じてよ

群れなきゃ走れねえあんたらとは

格が違うんだボケ!

========

うおおおおおーーー、これだぁーーー、このセリフが好きだああぁぁぁーーー

と、熱くなったところで、ちょっと冷ましてみます。

私が、「自分が決めたルール」に思いを馳せると、

■誰が何と言おうとも、着る服は「機能」を最優先で選ぶ

■下品であろうが、不遜であろうが「食事中に本を読む」

■特許庁審査官の拒絶の通知に対しては、勝目がなくとも「意見書で反論を試みる」「拒絶査定まで闘う」

・・ぐらいかなぁ。

桃子のように、確固たる信念で、ロリータ・ファッションを貫くという覚悟には遠く及ばない「ルール」ではありますが。

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また、桃子の「人は一人ぼっちで生きていくものであり、友達は必要ない」という信念にも共感します。

特に、女性が群れることを否定して生きることというのは、男性のそれとは比較にならないほど、難しいことのように見えます(私が観察している範囲では)。

# しかしねえ、私が一人で昼食を食べている席を、取り囲むようにして席を確保する必要が、なんであるでしょうか。

# 敵にとりかこまれた囲碁の碁石のような気分で、折角の楽しい昼食読書タイムを台無しにされました。

-----

ところで、私の会社、私を含めて「桃子」のような「男」がゴマンといます。

とにかく、他人からは良く分からん(理解不能な)ルールを、信念を持って守っているような「男達」です。

そして「そいつらの生き方が、カッコイイか」と問われると、

―― 困ったことに、全然そうでもないのですね、これが。
http://www.amazon.co.jp/下妻物語スタンダード・エディション[DVD]/dp/B0002X7IXC
2012年 10月 17日
コンサバ
アノニマスの攻撃などのニュースや、その他の攻撃型メール等も調べています。

昨夜から、考えているのですが、

=====
サイバー攻撃ITインフラ(ネットワーク、OS、からアプリまでを含むパッケージラインナップ)の研究
=====

というのを、再度、社内で提案してみようか、と考えています。

http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20120512
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20110211
http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20120621

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って思ったんですけどね、こんなこと、とっくの昔に始まっているだろうし、すでに、多分、国民には秘されているだろうけど、国家がこの程度のことやっていない訳がない。

# やっていなかったら、逆に怖い。

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ウーン、と考えている内に思いついたのが、

「ロボコン」

これだ。これが良い。

「コボコン」とは、ロボットコンテストの略です。

NHK主催の「高専ロボコン」「大学ロボコン」が有名で、対戦相手のロボットと一定のルール下で対戦させるというものです。

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そこで、今回提案するのは、

「サーバ攻撃コンテスト、Contest of server attacks (コンサバ)」

# なぜ、「サバコン」としなかったかは、(多分)判って頂けると思います。

サーバ同士を闘わせて、相手のサーバを機能不全に陥れたら勝ちという、シンプルなルールで実施。

解説者:「おっと、ここでDDoS攻撃から、スローDoSに攻撃変更かぁ! あっと、IPスタックのドライバ破壊されているぞ。なんとソフトドライバ直接攻撃に来たかーーー! 」

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うーむ。

実況中継しても、視覚として楽しめんかなぁ。

解説者も、相当の専門知識が必要になり、視聴者がもの凄く限定的になりそう。

ま、テレビ中継でなくても良いかもしれませんが。

ITの技術者を広げるには、ゲーム化するのがてっとり早いか、と。

犯罪者育成機関となる恐れもありますが。
2012年 10月 16日
改正著作権法(続き)
さて、今回のダウンロード刑事罰の立法化について、その批判文を探しています。

が、強力な批判文が出てこないんですよね。

それどころか、変なこと書いている人もいます。

■「日本人は Youtube、ニコニコ動画を見たら逮捕されるけど、外国人だとされない」

そんな、アホな。

日本国の法律は、属地主義に基づいて、日本国内の領土・領海で適用されます。外国人であろうが日本人であろうが、区別される訳がありません。

外国のサーバにアップロードされたものであっても、日本国内でダウンロードして視聴したらアウト、というだけの話です。

これも別段に新しい話ではありません。例えば、不正競走防止法では、すでに同じような条文があります。

■「中国、韓国が捏造動画で日本人を批判する動画をたくさん作っても、それを確認しようと日本人が見た瞬間に違法で逮捕されるわけです!」

著作権法のどこをどう読んだって、こんな解釈が出てくるはずがありません。

著作権者が明示的または黙示的に認容していない態様で、コンテンツを流布されて、視聴され、著作権法の第21条から30条未満の間の行為に該当すれば、原則として侵害は成立します。

別に、外国の人や特定の政治団体とは、何の関係もありません。

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今回の法改正の趣旨って、凄く明快なのですよね。

(1)私は、テレビ向けのアニメ番組を作っており、テレビの視聴率を稼ぐことが仕事である。

(2)しかし、そのテレビのコンテンツを勝手にアップロードされて、多くの人間にダウンロードされて、繰り返し視聴されている。

(3)このダンロードによって視聴率は減少し、収入の途が断たれている。また、DVDによる二次的な収入確保も脅かれている。

(4)このダウンロードを禁止したいが、アニメ番組事業者が、そのダウンロードをしている人間を特定して、告訴に至るのは、ほとんど不可能に近い(ネットワークの専門知識 + プロバイダへの開示命令が必要)。

(5)頼むから、なんとかして欲しい。

「なるほど、これは理に適っている」って思いませんか。

最初から利益を簒奪(さんだつ)されることを前提として成り立っている。

そんな産業に、これから誰が就職し、育成していこうと思うでしょうか。

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比して、この改正法を批判する側の論旨が弱いんですよ。

例えば、

■「権利者側が違法ダウンロードの主体と見なしているのは主に中高生だが、その約半数はいまだダウンロードが違法になったことを知らない」

→ この法律案、突然登場したかのように見えますが、法律というのは少くとも意見提出期間というものがあります(パブリックコメント)。

私が調べた限り、このダンロードに関するパブリックコメントの募集は、相当前から始まっています。この場合、ちゃんと対応をしてこなかった教育関係者の懈怠(けたい)の方が責められそうです。

→ また、多分、この手の問題は運用で回避できます。まず、相当悪質(ダウンロードしたコンテンツを、再配布して利益を上げている)な大人が検挙され、それが流布されることで、徐々に周知されていくと思います。

→ そもそも、誰かが時間とお金をかけて、一生懸命作った著作物を、あたり前のようにタダで手に入るということ自体に疑問を生じない人間は、子供であれ、大人であれ、そりゃ、マズイでしょう。

■「捜査権の濫用を招くおそれがあります」

→国家権力が、権力を行使し、時として濫用を行うのは、その性質から言って「あたり前」です。

ただ、私が国家権力であるなら、非親告罪で刑事罰が適用できる特許法等で濫用しますね。今回、非親告罪となったこの法律では、少々扱いが面倒ですから。

→というか、「いまさら?」という感じがします。

相も変わらず、発信元を隠蔽する程度の処理も行わずに、「殺人予告」を書き込むバカが逮捕されていますが、犯罪予備段階で、国家権力がインターネットに入れることは、もはや普通に日常の範囲内です。

少なくとも私は、インターネットが「自由の楽園」などという、時代遅れの幻想などは持っていません。私にとってインターネットとは、単なる「情報の水道管」です。

■「私たちは違法ダンロード刑事罰化に反対します」

→このフレーズが、決定的にマズい。

ダウンロードが「違法」であるということを認めており、「違法」だけど「罰せられるのはイカン」と言っているのですよね。

これ、法律を仕事にしている人や勉強している人には、明かな一本の区切りの線が見えますが、それ以外の人に、「違法だけど罰せられるのはダメ」という理屈を、分かって貰えるかな?

どうせなら、「ダウンロードが違法であるという現行法律は、憲法違反だ」というくらいの大胆な論旨を(無理矢理にでも)構築して展開して欲しいものです。

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この他、レコード会社やテレビ放送局の不利益につながる、というような論旨もあるようです。

もちろん、この法律の導入によって、逆にコンテンツ産業(レコード会社やテレビ放送局)が、宣伝力を失ない、ダメージを受けるかもしれませんが、

しかしですね、なんで、消費者である私達が、レコード会社やテレビ放送局の経営について心配してやる必要があるんですか? レコード会社やテレビ放送局が潰れようが、どうでも良いじゃないですか。

# みんな、本当に親切ですね。

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さらに、もう一つ。

我が国は、中国やベトナムを「コピー大国」と非難し、「知財の泥棒」呼ばわりしています(概ね、事実ですが)。

だからこそ、「お前の国だって、違法ダウンロード常習国じゃないか」と反駁されるのは、―― 私は嫌だな、と思うのです。

実は、今回の著作権法改正、多分TPPとも密接な関係があると思われますが、それは別の機会に。

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では、最後に私の所感です。

「まあ、しゃーねーなー」

ってところです。
2012年 10月 15日
改正著作権法
さて、巷で大騒ぎになっている、改正著作権法をやっと読みました。

色々な人が、色々なことを言っているようですが、とりあえず、条文を読んでみました。

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取り急ぎ、罰則規定から先に読んでみました。

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/24_houkaisei_horitsu_shinkyu_ver2.pdf

いわゆる、刑事罰(=金を払えばすむという問題に留まらない罰)は・・と、

119条第3項のこれだな。

第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて(5)著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

では、逐次的に検討してみますね。

(1)著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信
→Youtube等はアウトで、NHKオンデマンドはセーフ という理解で良いと思う。

(2)国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権
又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。
→海外のサーバからダウンロードされてもアウト、という理解で良いだろう。

(3)受信して行うデジタル方式の録音又は録画
→Youtube等からツールを使ってダウンロードした音楽または映像ファイルのことだろう

(4)その事実を知りながら行つて
→いわゆる「悪意」のことだけど、自分でダウンロードしていれば、当然に「悪意」は認定できるだろう

(5)著作権又は著作隣接権を侵害した者
→「録音」「録画」は、2条1項13、14号に定義されており、まあ、間違いないなく、Youtube等からツールを使ってダウンロードする行為を指している。同15号で、録音も録画も「複製」に含まれるので、第21条の複製権の侵害に該当する。

また、それだけでなく、ダウンロードの最中の行為として、公衆送信権(第23条)違反でも刑罰の対象になりそう。

ただ、その音楽や映画や画像を彼女と一緒に見たり聞いたりしても「公」には該当しないので、上映権や展示権は大丈夫そう。

(5)二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
→刑罰の対象(被害を受けたレコード会社の損害賠償だけでは済まず、国家が罰を与えるというもの)

ただし、第123条で、当該119条は親告罪(被害を受けたレコード会社が騒がないと、警察は動けない)と規定していることには変更なし、と。

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ふむ、なるほど。纏めるとこんな感じか。

■Youtube等でのレコードの視聴やアニメのクリップは、改正前であっても(ダウンロードしなくても)、完璧に著作権侵害は成立している。

■しかし、基本的には民事の範囲であり、レコード会社やテレビ局が、その立証をしなければならず、しかも刑事罰はなかった(金の問題だけだった)。

■今回の改正で、「録音」「録画」が伴った場合に限り、刑事罰が適用されることになった。但し、レコード会社やテレビ局が告訴しなければならない(親告罪)。

今回の改正法では、この刑事罰の適用が問題なのでしょう。

民事事件であれば、「民事不介入の原則」といって、警察は何もできなかったのですが、刑事事件となれば別です。

「殺人予告」などの明らかな脅迫罪やあるいは威力業務妨害が認定できれば、警察権力は、「あっ」と言うまに発信元を突き止めることのできました。

これまではレコード会社や映画会社が、自力でこの犯罪を立証しなければなりませんでしたが、国家権力の協力を得られれば、こんな簡単なことはありません。

レコード会社や映画会社が提訴すれば、警察が動き、家宅捜査、パソコン押収、証拠保全、裁判、ダンロード実施者の有罪確定、と、まあ、ほぼ100%被告の敗訴となるでしょう。

もしかして、勘違いされている方がいるかもしれませんので、念の為。

そもそも、音楽CDや映画のDVDを無断でアップロードする行為も、ダウンロードする行為も、100%完璧に著作権法の違反行為でだったのです。

レコード会社が自分でなんとかしなければならなかったところに、今回の改正によって、「自宅に踏み込めるお巡りさん」が加わった、と思って貰えば良いと思います。

(つづく)
2012年 10月 14日
日本の一番長い日
終戦関連の記事を調べていたところ、

「日本の一番長い日」

という映画が『凄いらしい』ということが分かりました。

8月15日の終戦の詔勅がラジオで流れるまでの、24時間を描いた歴史的大作らしく、早速DVDを借りてました。

が、「これがそんなに『凄い』映画か?」と思いながら、もういちど題名を見てみると、

「日本の一番長い夏」

あれ?

「日本の一番長い日」

ではない。

まあ、そりゃ確認しなかった私が悪いですが、これは、配給した映画会社も悪いと思うぞ。

「詐欺」とまでは言わないけど。

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で、もう一度、リトライ戦。

「日本の一番長い日」

ですが、本当に凄い映画でした。

白黒でしたけどね。

後で、パソコンでレビューしていたのですが、どこから見始めても、全部が名場面。

全ての役者に、鬼が宿っているかのような迫真の演技で、見終った後で、クタクタに疲れました。

みどころは、当然、あの「宮城事件」です。

8月14日深夜から15日の未明に、一部の陸軍省幕僚と近衛師団参謀が中心となって起こしたクーデター未遂事件です。

目的は、天皇の終戦の詔勅が録音された「玉音盤(レコード)」の奪取、つまり、玉音放送の阻止です。

宮中(皇居の中)を占拠するという、前代未聞の大事件でした。

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嫁さん:「これ、どういうことか、よく分からないんだけど」

私:「一言で言うと、陛下のお家に、土足で踏み込んで、銃を向けた、ということな」

と言うと、ビックリしていました。

当時の常識から言えば、不敬罪の罪状が100個ついても、まだ足りんという位でしょう。

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そういえば、

『放送30分前の午前11時30分に、放送会館のスタジオ前で突如1人の憲兵将校が軍刀を抜き、放送阻止のためにスタジオに乱入した』いう話は、別のドラマで見ました。

私は、ずーっと長いこと、このエピソードはドラマの中の創作(フィクション)だと思っていたのですが、今回、これが史実であることを知りました。

天皇陛下の強い意思があったにも係わらず「戦争を止める」というだけのことが、こんなにも難しかったのだなぁ、と。

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利権の塊である、エネルギー政策を中止するのも同じくらい難しいのでしょうか。

「レベル7」という、これ以上の最悪値はない、というくらいの最悪の原発事故を起こしているにも係わらず、です。

仮に「陛下の詔勅」を賜ることができたら・・・いや、それでも駄目かな。
http://www.amazon.co.jp/日本のいちばん長い日%20[DVD]/dp/B0007W7GPS
2012年 10月 13日
アノニマスの「サーバの攻撃」に関する一考察
アノニマスの活動全体をどう判断するかは、現在、考え中です(当面留保させて下さい)。

ただ、アノニマスの「サーバの攻撃」に限って言えば、これまでたくさんのサーバを構築してきた私から見ると、

「よちよち歩きの赤ん坊を、大の大人が寄ってたかって、蹴り倒して、踏み付けている」

という風に見えます。

例えば、DDoS攻撃(大量パケットをサーバの通信インターフェースにぶつける攻撃)をすれば、サーバはダウンするに決っています。

■設計時の想定を越えるトラフィックをぶつければダウンするに決っているサーバに対して、
■現実にそのようなトラフィクをぶつけて、サーバをダウンさせて、

―― それに一体、何の価値があるというのだ ?

そもそも、サーバというものは、初期設定の想定以外の状況に対しては「赤子のように弱い」ものなのです。

例えば、我が家のホームサーバ(拾ってきたドイツのノートPC)などは、2台のパソコンからのファイル転送で落ちてしまうくらいスペックが貧弱です。

ですから、クライアントPCの方で、サーバが落ちないように注意しているくらいです。

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ダウンしたサーバは、電源を再投入すれば直ぐに動き出しますし、DDoS攻撃に対しては、前段にロードバランサー等を入れるだけで、攻撃を防ぐことができます。

逆に、そのような攻撃の最中は、そのサーバを使いたい善意の第三者が、利用できなくなり、不便を強いられることになります。

サーバをダウンさせることに、どれだけの政治的効力があるのは、知りませんが、私には、アノニマスのやっていることが、例えば、

■鉄道会社に不満があるので、

■動物の遺体を投げ込んで、人身事故に見せかけて、

■ダイヤをズタズタにして、

■出社時や帰宅時の、本当に多くの人に莫大な迷惑をかけている

と同じことをやっているように見えます。

私は、アノニマスが、かつての日本赤軍やオウム真理教のように、「人民の利益」を掲げて活動している内に、その人民から蛇蝎のように忌み嫌われて、「人民の敵」として自滅していくプロセスと、同じ道を歩んでいるような気がして仕方ありません。

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とは言え、正直なところ、私は、アノニマスが、私以外の誰を攻撃しようとも興味はありません。

ただ、この程度の安易なサイバー攻撃で、その性質からして懦弱であるサーバをダウンさせて、得意気に「サイバー世界の正義」のごとく振る舞う傲慢さには、心底不愉快な気持でいます。

匿名の隠れ蓑で、自宅のパソコンから、コーヒーでも飲みながら、単純な攻撃プログラムを書いて、他人のパソコンを経由してパケットを投げつける程度の行為の、

―― どこに「正義」を見いだせせば良いのか

―― どこに、「命を賭けた覚悟」があるのか

機動隊の盾で、足の甲の骨を砕かれたり、留置場に放り込まれる覚悟をしながら、ジグザグデモを実施していた、かつての学生達の気高さにも、到底及ばない。

それどころか、ばかりか、自らの手を血で染めながら、テロを続ける下衆なテロリスト野郎にすら劣る、とまで思えます。

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実名で色々な文章を開示して、色々な人から非難に晒されている私としては、この「アノニマス(匿名)」という名称だけでも、十分に不快です。
2012年 10月 12日
不当な妬み
昨日の日記で、

<ここから>
そして、もし抗争相手が、鴨川を挟んで東に位置するノーベル賞受賞者を大量にを輩出している国立大学であるなら、なおのこと ――

―― 京都御所の蛤御門から、吉田町にあるキャンパスに、ロケットランチャーでミサイルを叩き込むことに、1秒も躊躇(ためら)わない
<ここまで>

と言う記載をしました。

念の為に申し上げます。

私は、決して、この大学を妬んでこのような記載をした訳「なのです」。

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実はですね、大学院在学中のころ、どうしても読みたかった文献(たしか、IEEEの学会誌だったと思う)を探していたことがありました。

大学中の文献を探したのですが、見付からずに、大学の図書館に頼んで探して貰ったところ、その『鴨川を挟んで東に位置する吉田町にある』大学にあることが分かりました。

で、事前に貸与の申し入れをして、その大学で、無事その論文を借り受けることができたのです。

なお、当時、まだインターネットという言葉すらない時代でした。

この過程で、この大学から不当な扱いを受け、貸出に膨大な手続をさせられた―― などということは全くなく、大変気持よく貸して頂いたのを覚えています。

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というように、この大学を妬む理由など、全くなく、むしろ感謝すべきなのですが ――

この大学の学生は、『必要となれば、必要な資料がいつでも直ぐに手に入るのか』と考えるだけで、もう滅茶苦茶に羨ましくて。

ええ、そうです。

私は、「一方的に」「不当に」「理不尽に」妬んでいるだけなのです。
2012年 10月 11日
俺にはお前が最後の「法人」
姉から、「実家に、(私が卒業した)大学からの郵送物が届いているので、転送する」とメールで連絡がありました。

姉には言っていなかったのですが、両親には「大学からの郵送物は、全部その場で廃棄して構わない」と言ってありました。

大学の卒業生向けの郵送物は、「◯◯大学県人会」とか、「△△校舎の寄付」とかいうものが、殆どで、

―― 興醒めること、甚しい

このような郵送物は、私の夢のように過ぎた夢のように幸せの6年間(大学4年+大学院2年)時代を、今になって「泥で塗りたくられるような不快感」を感じてしまうくらい、不愉快なのです。

私の大学時代の思い出は、私の中にだけにあればよいのです。

(学生)運動も、勉強も、研究も、仲間も、恋愛も ―― 何もかもがみな懐しい(沖田艦長風)

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私が、生れて始めて、人間ではない「法人」というものが好きになったのが、母校の大学でした。

「♪ 俺にはお前が最後の『法人』〜 (みちのく一人旅 風)」 というくらい。

もう他の「法人」を好きになることはないでしょう。

# 今、勤務している会社法人の話は無しの方向で。

私は、卒業した小学校が燃えようが、中学校が倒壊しようが、高校が暴動に巻き込まれようが、無感動のままであり、多分、眉一つ動かさないくらい ―― 本当にどーでもいい―― と思っています。

しかし、母校の大学の危機であれば、いつでも助っ人に馳せ参じるという気持があります。

特に、在籍していた研究室で抗争が発生し、戸高教授、石原教授から

『ちょっと助けてにきてくれんかのう』

と言われたら、私は重火器を担いで、研究室に参上する覚悟はできております。

そして、もし抗争相手が、鴨川を挟んで東に位置するノーベル賞受賞者を大量にを輩出している国立大学であるなら、なおのこと ――

―― 京都御所の蛤御門から、吉田町にあるキャンパスに、ロケットランチャーでミサイルを叩き込むことに、1秒も躊躇(ためら)わない

# しかし、両教授とも退官されてしまい、今や私には、研究室を守る「大義」が、見い出せなくなってきては、いるのですが。

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私の母校大学への愛は、かなり歪んでいるのです。

この歪んだ愛は、大学の県人会ふぜいに、受け止めれるようなものではありません。

県人会事務局は、もう、私のことは放っておいて下さい。
2012年 10月 10日
福袋
正月にデパートで販売される福袋についてのエッセイを読んだのですが、「5万円の福袋」に「20万円の毛皮のコート」を叩きこむことがあるそうです。

正直、驚きました。

デパートのメンツに関わるので、二流品は入っておらず、どれも超一級の衣服なのだそうです。

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一方、IT業界、というか、パソコン業界では、このような「福袋」という文化が定着しておりません。

私が、DVDドライブを複数所有して、

『今日は、どのDVDドライブをUSBハブに接続しようかな〜 ウフッ(ハート)』

という光景は、考えるだけでも気色悪い。

パソコンの周辺機器においては、「動くこと」「初期不良に当たらないこと」「長く壊れないこと」という要素を満たせば足り、そして、何より2つ目が必要がないからです。

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衣服と周辺機械の決定な違いは、コーディネートにあると思います。

衣服は組み合せのパターンにバリエーションがあり、しかも、その組み合せがファッシャナブルでなくても、服としての用途は満たします。

比して、周辺機器は、稼動しなければ、パソコン等のシステムを全部無効化してしまいます。

周辺機器に「福袋」という文化が成立しないのは、当然と言えましょう。

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ただですね。

私の周辺機器(すでに完全に用途が終ったものも含めて)の在庫が、我が家の空間を占拠しているのは事実です。

しかし、それでも高々ダンボール数個程度です。

私の嫁さん、娘の衣服が占めている容積は、多分、スーパーコンピュータの筐体2台分はあると思うのですよ。
2012年 10月 09日
最後の一押
あなたが誰かを好きになった時、友人に「告白した方が良いかどうか」と相談するのは、止めた方が良いと思います。

なぜなら、ほぼ100%の友人が「告白した方が良い」と言うハズだからです。

理由は以下の通り。

(1)告白しなければ別に今と何も変わらないが、告白すれば、身近に大変な非日常的イベントが始まることになる。

(2)そのイベントが失敗しても成功しても、見ているだけの他人であるその友人は、常に気楽で楽しい。

(3)しかも、自分にはリスクが全くない。こんな、ワクワクなイベント、他人に、けしかけない手はない。

(4)成功すれば、「自分がアドバイスしたらだ」と宣伝でき、失敗しても、「友人を慰める」という、楽しいイベントまで付いてくる。

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上記の例は、「恋愛の告白」という事例で検討していますが、

■結婚(プロポーズ)

■転職

■起業

でも同じことです。

詰るところ、「現状を変化させること」であって、「自分にリスクがない」ものであれば、なんであれ、他人は賛成の意見を言うものです。楽しいからです。

逆に言えば、「その告白は止めておいた方が良い。あなたに勝ち目はない」と直言してくれて、その理由を完璧な論理付けをして説明してくれる友人こそが、

「真の友人」

なのですが、多くの場合、そういう友人は嫌われます。

難しいですね。

ともあれ、自分の人生の決断は、しょせん自分一人で、命がけで考えなければならないものなのです。

他人への相談は、決断(デシジョン)ではなく、デシジョンの材料となる情報収集に協力して貰うのが正しいです。

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という話を、得意気に娘(中学生)に語ったら、

「そんなのあたりまえ」

と、当意即妙(とういそくみょう)というか、遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)なく、

( いいこと言ってみようと思ったのですが、どうも、良い四字熟語が見付からない)

応答されました。

「じゃあ、なんの為に友人に相談したりするんだよ」

と私が尋ねると、

「最後の一押しをして貰う為だよ。自分の決断に対して『応援』を期待している訳だね。友人が自分の為に判断してくれることなど、最初から期待していないよ」

とのこと。

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私は、中学時代、結構、捻て(ひねて)いた方だと思うのですが、もう少しウエットもあったかと思います。

今の中学生は、もっとドライですね。
2012年 10月 08日
『恋愛と戦争においては、あらゆることが正当化される』
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ゆうこさま

このまえはおつかれさまでした。ちゃんと帰れましたか?

なんというか、あなたのことが好きなんです。

あなたといっしょにいると幸せな空気が僕をつつみます。

きみを見るだけで血液が沸騰するような気分になります、ほんとに沸騰したら死んじゃうけど

結論は急ぎません。とりあえず、こんどごはんを食べに行きましょう。

では。メールまってます。

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『ついに、江端が狂ったか』と思われた方。

大丈夫です。江端は、まだ正気です。

えっとですね、次の寄稿コラムの題材として「ラブレターの書き方」を調べていたところ、ラブレータを自動生成してくれる

「ラブレータジェネレータ」

というものを見つけました。

http://portal.nifty.com/special03/0215/otoko.htm

このアプリは、適当なオプションを選択するだけで、ラブレターを作ってくれます。

私は、このような愛を告白する大切な文章を、コンピュータふぜいに依存するという姿勢を、絶対的な意味において、

―― 支持します。

上記のコンピュータが作ってくれた文章、そんなに悪くないですよね。

少くとも、ラブレターをワープロ15枚で書いたことのある私より、ずっと好印象な文章です。

# 力付きて、ラブレターを最後まで読んで貰えなかった奴って、世界中に何人いるんだろうなぁ。

それはさておき。

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英語の諺に、

"All is fair in love and war"

『恋愛と戦争においては、あらゆることが正当化される』

というものがあります。

文章を作成することが苦手な人が、苦手分野で正々堂々と戦う必要はないのです。

コンピュータで、誰でも、手伝ってくれるのであれば、誰であれ何でも助けて貰えば良いのです。

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なお、今、私は、

"All is fair in love, war and English"

『恋愛と戦争と「英語」においては、あらゆることが正当化される』

という論旨で、連載コラムを展開中です。
http://portal.nifty.com/special03/0215/otoko.htm
2012年 10月 07日
暗黙の圧力
本日は休日出社で、結構「重い」仕事を3つ片づけております。

Youtubeで、アルゲリッチ先生の「ショパンのピアノ協奏曲1番第一楽章」を聞きながら仕事しています。

もし、この演奏を生で聞けるなら、一財産叩いても良いという気持になります。

もし、このピアノ演奏を自分でできたなら、演奏後、即死んでも良いと思います(本当)。

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当然のことですが、私が好きなものを、他人が好きであるとは限る訳ではありません。

一度、この曲を他の人(親戚の叔父さん)に聞かせてみたのですが、「ふーん、そんなに良いんだ」という感じの表情をしていました。

個人の嗜好が共有されるとは限らないのことは、当たり前です。

家族に「シュタインズゲート」見せても、ポカーンとしていましたし、鳳凰院凶真・・もとい、岡部倫太郎が、『ウザく見ていられない』と言っていました。

うむ。無理もない。

私も第22話から見なければ、絶対にこんなアニメは見なかっただろう、という確信があります。

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ところで、今、うちの課では、「シュタインズゲート」と「魔法少女まどか☆マギカ」を

『見なければならない』

という、暗黙の圧力があるのだそうです。

うちの課のトップ2(課長とその補佐の主任研究員)が、情宣(情報宣伝)しており、部下は逆らい難い空気、ということに、なっているなのだそうです。

# どんな上司だ

しかし、これは、正しくはありません。全くの誤解です。

「江端さんが、『研究員たるもの「シュタインズゲート」を見なければならない』とブログに書いていた」というのは、事実誤認です。

私は、少くとも「シュタインズゲート」と「魔法少女まどか☆マギカ」なんぞで、パワハラ(パワーハラスメント)を行っているという認識はありません。

# どんだけ情けない「パワハラ」だ

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ただ、課のトップ2が賞賛しているという事実だけで、十分「暗黙の圧力」になるだろうな、とは思います。

確かに、組織とはそういうものです。

でも、うちの課が、「上司から、アニメでプレッシャーを受けているという」という風評は、早いとこ潰しましょう。

うちの課の、誰の利益にもなりません。
http://www.youtube.com/watch?v=ZNIK1yaKr_4&feature=bf_prev&list=PL63E79652C52A7E44
2012年 10月 06日
最後のページにたどりついて貰う為に
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)というと農作物だけがテーマと思っている人が多いように思われますが、実際は21分野の1つに過ぎません。

今回私は、農作物以外のTPPの項目をネタとして、寄稿しようと思っておりまして、現在ネタを探して、文献を漁っているところです。

その文献の中でも、

「誰も書かなかった 世界経済の真実 地球経済は再び斬り刻まれる (2時間でいまがわかる!) [新書] 」(浜 矩子著)

は、なかなか楽しかったです。

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どんな書籍であれ、専門分野の本というのは、それ以外の人にはとっつき難いものです。

専門用語が分からないし、その分野の常識や慣例というものも知らない。

加えて、基本的に著者が「誰に向って語っているのか、理解しないで本を執筆している」と思われるような記載が多いです。

例えば、私の場合、いま2つのコラムを寄稿していますが、ターゲットは明確です。

■一つ目の「技術コラム」のターゲットは「嫁さんと娘(中学生)」

■二つ目の「英語による仕事のやり方のコラム」のターゲットは、私の目の前にいる「入社3年目の○○君」

です。

そういう意味でいうと、私は人生において、一度たりとも

「岩波文庫」

を読了したことがありません。

理由は明快。内容が分からんからです。

少くとも、ターゲットは「私」ではなかったようです。

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比して、

「誰も書かなかった 世界経済の真実 地球経済は再び斬り刻まれる (2時間でいまがわかる!) [新書] 」

は、もう題目からして、はっきりしていますよね。

『経済のことを、ひとっつも分からない人。こっちにおいで』

です。

また、本書の中のレトリックの使い方も秀逸です。

■難しいフレーズをいくつか書く→そこで一度止めて簡単な言葉で纏める

例:「小国が仕掛けた餌で大物が釣れた!」
→ TPPの前身が、アメリカをひっかけた方法

「複雑に絡み合うスパゲティボウルの中身」
→ FTAの中や外に別のFTAが発生して、訳の分からななっている状態

■こみいった論旨が複数同時に展開される→そこで一度止めて「分からんぞ!」と自分で自分の文章に突っ込みを入れる

例:「FTAというものが1940年代から存在したことを、なぜ、もっと早く言わないの?」

難しい内容のとき、このようなブレスト(息継ぎ)は、読者を本から離させない為に、非常に重要な要素であったりします。

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皆さんは、私が好き勝手なことを、気楽に、寄稿コラムに垂れ流して書いていると思っているかと思います。

はっきり申し上げておきたいと思います。

その通りです。

文章構成のメモを横に置いて、もう欲望のおもむくまま、思いついたフレーズを書き倒している、というのが事実です。

その一方で、PV(ページビュー:閲覧数)を、こっそり編集部から教えて貰ったりしています。

「人気」は著作者にとっては深刻な問題なのです。

そして、私は、皆さんが考えている以上に「おくゆかしい」(×「チキン」)のです。

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ですから、読み続けて貰えるような工夫(レトリックを含む)を、編集部の方と、毎回いろいろ考えていたします。

そんでもって、驚く程、「狙い通り」にならない。

自分では「全然駄目だ〜」と思っているものが、びっくりするくらいPVが多かったり、相当の時間を費した「渾身の力作」と思っているものが、全然ダメだったり。

聞いてはいましたが、コンテンツ事業(出版等も含む)が「かくも難しいものか」と、心底実感しております。
http://www.amazon.co.jp/誰も書かなかった%20世界経済の真実%20地球経済は再び斬り刻まれる%20(2時間でいまがわかる!)%20[新書]%20/dp/4776207389
2012年 10月 05日
新人に期待すること
Googleで市場調査をしている最中に、「新人に期待すること」をいう項目の内容が出てきたので、少し読んでみました。


■テーゼ:学生は社会に出るに当たり、どのような技術、知識を身につけるべきか

□技術的能力については 巾広い知識をもって、どのジャンルにでも適応できるようにしておくべき

□やる気のある、ちょっとそっとではへこたれない人間になっておくべき

□日本文化、歴史などいわゆる教養をしっかり身につけて、又しっかり遊んで、基礎体力と味のある人間になっておくべき

□基礎知識を身につけておくべき

□事実にもとづく正しい情報を把握する能力を養っておくべき

□問題を識別する能力を身につけておくべき

□身につけた知識・情報を活用して、他人とコミュニケーションを図れるようになるべき

□自分が取り組んでいる問題、或いは技術的に難しい問題を周りの人達、一般人に論理的に、分かり易く説明する話術を磨いておくべき

□国際化時代に対応する能力を身につけておくべき

□いろんな問題に対して、関心を持ち、常に問題意識を持って考察し、自分の意見を持っておくべき

(以下、省略)

上記は、シニアと言われてい人が、新人に対してしているアドバイスだそうです。

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なるほど、うん、よくわかった。

「シニア」と呼ばれている、この人達、全部アホだ。

「巾広い知識」「へこたれない人間」「教養」「問題を識別する能力」 ?

なんだ、この情けない抽象的で、全く役に立ちそうもないフレーズの数々は。

■この程度の表現力しかない「シニア」が、

■現段階で、自分でさえも実現できていない理想を、

■「新人」に語っているということ自体が

もの凄く滑稽です。

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『分かりました! 大変、為になるお話でした!!』と語っている新人のほぼ100%は、

―― 貧困な表現しかもたない、あなたたち、低能なシニアを嘲笑っている
2012年 10月 04日
私は首相を批判しません
私は為政者の政策・施策に対して、基本的にあまり批判を行わない方です。

なぜかと考えてみると、ティーンエイジャの頃に、結構な機会、リーダをやらされており(といっても、学級委員とか生徒会長とかのレベルです)、そのリーダの悲哀を、よく知っているからだと思っています。

『批判は大歓迎だから、代案持ってこい』

私はこういう「代案なき批判」にすっかり腹を立てて、大人となった今、リーダーシップを張る場面で逃げまくるという、情けない大人に成り下がりました。

私のティーンエイジャを知っている人は、現在の私を見ると、ちょっと驚かれるかもしれません。

# そんなことないかな。

「リーダは、批判されることのバーターとして、権力を行使できる」

と言われれば、確かにその通りですが、

「リーダを、教師達に無理矢理『押しつけらてきた』私」

には、この理論は通じないのです。

こうして、義務教育や高等教育の教師達は、

「政治的批判力を完全に喪失した成人」を、一人作り上げた訳です。

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「増税が嫌なら、公共サービスの質の低下を受けいれる」

「増税が嫌なら、代替の税収案を提案する」

が、正しい振舞ではないか、と思えてしまうのです。

少くとも、たった一度で良いですから、批判をする人は、電卓でもエクセルでも使って自力で計算してみる義務があると思うのです。

もちろん、官僚や政治家は、それらの計算のプロフェッショナルであり、そうであるべきですが、だからといって、「増税が嫌」とだけ叫ぶという姿勢は、もう通用しない時代だと思うのです。

私は、算数や数学の時間を半分にしても良いから、義務教育に「シミュレーション学」というのを取り入れてみたらどうかと思っています。

プログラミングなんて不要です。スプレッドシート(エクセル等)の使い方を教えれば足ります。

それはさておき。

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昨日、内閣の改造がありました。

閣僚名簿の文部科学相を見てびっくりしました。

『何考えてるんだ!?』

冷静になって考えている内に、狙いは理解できていたのですが、この人事は、逆効果となる可能性が高いように思われます。

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でも、私には代替案がありませんので、首相を批判しません。
2012年 10月 03日
最近の位置情報サービス
以前位置情報を使ったメッセージ通信の研究をしていていましたが、最近は専ら、位置情報サービスの調査を行っています。

Foursqureという情報サービスをいくつか調べていたのですが、なかなか楽しかったです。

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■"Assisted Serendipity(セレンディピティのお手伝い)"
カフェやレストランを指定しておくと、その場所の男女比率の変動があったときに、メールが飛んでくるサービス

■"Singles for Foursquare"
チェックインしたカフェとかレストランにいる相手とチャットができるサービス。

■"Pee*Fee"
公共トイレの場所をマップ上に表示 "Pee"って「おしっこ」という意味。

■"Where The (Gay) Girls Are"
レズの女性が集まりやすい場所のチェックインデータをリアルタイムに表示。

■"Gatsby"
同じ興味をもった人がいないかを確認して、発見した場合には、2人に自己紹介メールを自動送信。

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私は、もう「人と人を結びつける」というフェーズはとっくに終っていて、

○本屋の中を歩いていると「本が呼んでくれる」とか、
○秋葉原を歩いていると、「中古ジャンクが呼んでくれる」

というサービスが来るだろうなぁと思っていたのですが、また今回も「外れた」ようです。

むしろ、私の想定の、かなり「斜め上」を行っている。
2012年 10月 02日
私は許さない
先月、私は福島原発事故についての寄稿をしました。

ポイントは「嫁さんと娘たちに福島原発事故の、ざっくりとしたプロセスを理解して貰う」が趣旨でした。

何故、私がこのような寄稿したか。

私が記述した程度の、大衆向けの福島原発事故の解説記事が、私が調べた限りどこにもなかったからです。

できれば、私以外の誰かに、この程度の解説文章を書いて欲しかったです。特に原子力関係に従事している人や、大学の研究員であれば、もっとリアルに、もっと正確に記載できた筈です。

しかし、私が調べた限り、全くこのようなことを試みている人はいなかったです。

だから、私が書き上げた初版を読んだ娘(長女)が「判った!」と言ってくれた時に、

―― やっと目的を達成した

という、充実感がありました。

そういえば、「高速増殖炉もんじゅ」の危険性に関しては、このような試みをしてくれた方がいて、『助かるなぁ』と思ったことがあります。

今になって思えば、その方の記事が、今回の執筆の動機付けとなっていたような気がします。

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私は、今年の夏休みの殆どを費して、

■400ページにも及ぶ事故報告書を読み、

■水量を「トン」でなくて、「プール何杯分」と変換し、

■「3000度」を、「原爆爆心直後の温度」と記載し、

と、色々な「置き換え」作業で、忙殺されていました。

この原稿に費した時間は、ざっくり300時間は越えていると思います。

報告書の内容を引用して書ければ楽だったと思います。単位もそのまま引用すれば、置き換えなどの面倒な作業をする必要もなかったと思います。

が、しかし、それでは、多くの人には全然分からないのです。

すくなくとも、私は「嫁さんや娘たち」が理解できないような説明文など、「ゴミ」だと思っていましたので、校正を繰り返して、嫁さんと娘に、何度も読み直しをして貰いました。

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さて、今回の寄稿に対して、予想通りの結果が出てきました。

私の記事に対して、「正確でない」「誤解を与える」などというコメントを「匿名」で投げてくる人が出てきました。

私は、寄稿文章の中で、

『このコラムは、嫁さんだけでなく、私の子供にも読ませ伝えたいと思っており、可能な限り正確に記載したいと思います。私の誤記や誤解に関するご指摘はどのような内容であれ、歓迎致します。何卒、よろしくお願い致します。』

と、文末にちゃんと記載したにも関わらず、

■どこが正確ではないか、とも一言も言わず

■どの部分が誤解を与えるか、とも一言も言わず

「匿名」の隠れ蓑の中で、批判コメントだけをえらそうに記載してくる奴がいました。

私は、このような

「批判だけして、立ち去るモラリスト」

という奴が大嫌いです。

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このような批判をしてくる奴に対して、私は、まず

「アンタは、本当に分かっているのか?」

と質問がしたい。

または、よく知りもしないが、または、体系的に説明もできないが、部分的な瑕疵だけを見つけて悦に言っているだけじゃないだろうか、とも思えることがあります。

そして、

「本当に判っているのであれば、『お前こそが解説をしてくれよ』」

と、心から思います。

原子力発電の素人である私が、こんなに膨大な時間と労力を費して、このような文章を書かねばならない状況まで、

―― 一体、お前たちは、事故から1年半もの間、ボーっと何をやってきたのだ

と言いたいです。

私は、今、深く静かに怒っているのです。

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私は、この1年半もの間、嫁さんや娘たちに説明できるレベルの「原発事故」の解説コラムが出てくることを待っていました。

しかし、どの記事も

■専門用語の固まりか、

■重要な部分の明言を避けまくっているか、

■一般論で逃げを打っているか、

■あるいは、素人を馬鹿にして揶揄(やゆ)しているか、

いずれにしても、読むに耐えない記事ばかり、あるいは、匿名に隠れて、文章に責任を取ろうとしない者達の戯言ばかり。

私は、批判(非難)されることは、一向に構いません。

そもそも、私は議論で「勝ち負け」をしたい訳ではないのです。

「嫁さんと娘たち」に、今回の事故の正しい知識を提示する為に、誤記や誤解を修正して欲しいだけなのです。

実際にそのようにして頂いた方もいました。大変感謝しております。

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率直に言えば、私は、「嫁さんと娘たち」以外の方にとって、寄稿コラムの内容を理解できるかどうかは、正直どうでも良いのです。

ただ、『家族に「間違い」だけは伝えたくない』という強い想いがあるだけです。

だからこそ、

■自己の立場を明示することもなく、

■何の情報も開示せず、

■何の指摘もなく、

■ただ私のコラムを非難するだけの奴を、

―― 私は許さない
http://biz-journal.jp/2012/09/post_649.html
2012年 10月 01日
魔法少女まどか☆マギカ(最終回)
えっとですね、今回、9月27日から5回に渡って、このような長文を掲載させて頂いた趣旨ですが、こういうことです。

私、江端智一は、「英語に愛されないエンジニア」も、「原発事故の解説」も書きますが、このような

「サブカルチャー」

も、結構行けますよ、ということを「陽」に主張したかったのです。

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江端家の財政は、もはや、娘達の養育費(教育費を含む)で破綻状態。

すでに嫁さんのアルバイトは前提となっており、

「私自身の学費は、私自身が週末に稼がなければ、成立しない」

という状態になっております。

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「魔法少女」でも、「マジカル☆なんとか」でも、ご依頼頂ければ、書評でもコラムでも、なんでも書きます。

ネタと結論さえ頂ければ、どんなストーリーのエッセイでも組み立ててみせます。だてに、研究員を20年もやっていません。

アイドルの皆さん。ゴーストライターのご依頼もご検討下さい。

セールストークは、

『理系的観点からの知的なフレーズを、論理的に展開して、ファンの心を鷲掴み(わしづかみ)』

で、いかがでしょうか。

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そうそう、忘れていましたが、9月28日までなら(もう間にあわないか?)、

「生(なま)江端」

が見られます。

『一体、お前、何考えとるんだ』と、突っ込まれそうですが。

この出演までの経緯を、4フレーズで纏めると、こんな感じになるでしょうか。

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編集部の方:「江端さんに、ぜひインターネット出演して頂きたいのですが」

江端:「(かつての美青年が、年老いて朽ちた(肥えた)姿を晒すのは、ちょっとなぁ・・・)」

編集の方:「ギャラ、出ますよ」

江端:「やります」

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楽天 吉岡氏に聞く! 完全英語化でエンジニアは幸せになれますか ≪@IT情報マネジメント Special≫

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