私が大学在学中に、アルバイトをしていた時の話です。
通信教育の教材を販売している大手の会社のバイトで、その教材で分からなかった箇所を、一時間教えるというものでした。
生徒にはそれぞれ「カルテ」と呼ぶものがあり、そこには別の講師がこれまで何を教えてきたかが記載されています。
その中に、勉強の方法を教えて欲しいという理由で、20回以上も連続して通っていた生徒がいました。
どうやら彼は、成績を上げる「魔法の方法」を教えて貰いたいらしいようでした。
当時でも、「短期間で成績を上げる」とか「今からでも間にあう受験」てな本が山のようにありました。
私が彼にいったことは、こんな内容だったと思います。
君がここに通ってくるのに往復何時間かかっている?
そうか2時間くらいか。
で、君は2時間あれば、英単語を幾つ覚えられる?
君の通ってきた回数20回は40時間だね。
一日3時間勉強したとして、13日以上も勉強する時間があったころになるね。
こんなところに「魔法の方法」を尋ねにくることなんて止めて、その分、真面目に勉強に回したら?
これが、本当の「魔法の方法」だと思うよ。
彼はそれから私のところには来なくなりましたが、多分、それは納得したのではなく、痛い所を突かれたからではないかと思います。