「サンダーバード」とは、ご存知の通り、1965年にイギリスで放映された人形劇による1時間枠の特撮テレビ番組です。
世界各地で発生した事故や災害で絶体絶命の危機に瀕した人々を、国際救助隊と名乗る秘密組織がスーパーメカを駆使して救助する活躍を描く、21世紀(2026年)を設定としたSF番組です。
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私が大学生であった頃、自衛隊の海外派遣(派兵?)に対して、国を二分する議論が行われていました。
勿論、憲法第9条の拡大解釈を認め得るかどうか、という点でした。
「人命救助に限定する行為のみを明文化して、海外派遣すれば問題ないと思うけど。『国産サンダーバード構想』だな」
と言った私に、法学を専攻していた私の友人は、ちょっと上を向いて溜息をついた後で、私に向って言いました。
彼女:「あのね。国家をスポンサーにする軍隊が、人命救助のみに限定して行動する訳ないでしょう。第一、国益に資さないでしょう」
私:「いや、国際貢献という観点で、国際的な評価が・・・」
彼女:「じゃあね。古今東西、国家が他の国家に派兵する場合、その理念は、例外なく「サンダーバード」を掲げた事実は理解している」
私:「・・・え?」
彼女:「「旧ソ連のアフガン侵攻、ソマリアの米軍介入、古くはベトナム戦争だって、『人道支援、人命救助』を掲げていたし、帝国主義か共産主義やらの脅威排除とやらは、広義の「国際救助隊」と言えるでしょう」
私:「そ、そりゃ、そうだけど」
彼女:「旧日本帝国が、人様の国の中に別の国(満州国)を作ったのも、邦人保護を理由とした「国際救助」が理由だったのよ」
私:「・・・・(沈黙)」
彼女:「あの『サンダーバード』という番組が、本当に凄いことは、『国家に依存しない国際救助隊』をコンセプトとしている点にあると思うな。
つまり、『金持ちの道楽による国際救助』という、前代未聞の概念こそが、真に評価すべき点よ」
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ぐうの音も出ませんでした。