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2012-03-24 「美しい激突」と「金の匂い」 [長年日記]

先日、「新型うつ」の話をしました。

近年、このような事態を回避する為に、いわゆる飲み会や、従業員の家族を加えた社内運動会、職場旅行などが復活される兆しがあるようです。

嫌な風潮だ、と思っています。

1990年代、公的なイベントに私的な時間を費すことの批判が殺到し、社内運動会などの実施は、事実上の廃止に追い込まれました。

理由は簡単。

誰も幸せにならないから。

管理部門は、営業利益と全然関係のないイベントの為に奔走しなければならず、下手すれば半年もの時間を費されることになる。

業務部門は、数少ない休日を会社のイベントで潰される。巻き込まれる家族も同様。

職場としての自分と職場を離れた自分は、完全な別人格であり、「二面性を持つ排他的個人」であるというスタンスは、1990年代後半に概ね完成したと思います。

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ところが、「新型うつ」に対応するのに、飲み会や、社内運動会、職場旅行が良いそうなのです。

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 プロジェクト制で仕事ごとに上司やチームが変わるというような、案件ごとの関わりではなく、「その部下のことを人柄から家族背景などを含めて全人格的に知っている」といった関係を取り戻そうという動きが必要だ。そのためには、仕事や職場以外の飲み会などでの付き合いも、単なる個人主義によって避けることなく、見直していくとよいだろう。

(http://diamond.jp/articles/-/963?page=3)

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本当だろうか。

私は疑っています。

ワークホリックによる、家庭や家族の崩壊が叫ばれていた90年代において、我々は、「その部下のことを人柄から家族背景などを含めて全人格的に知っている」という、組織の悪しき風潮を止めようとしたのです。

それによって、企業などの組織への帰属感のみに支配されない、確固とした「個人の確立」を目指していたハズです。

このような過去の経緯を無視して、「全人格的に知っている」ことを、今さら「是」とするような論調は卑怯だと思う。

はっきり言えば「下品」だ。

大体、企業は「新型うつ」になっている人を、「気の毒」と思うから対応するのではありません。

労働力が減少するから、対応するのです。

「新型うつ」によって、生産性が上がるのであれば、当然のごとく放置しますし、場合によっては加速させるかもしれない。

企業の目的は、利潤であるからです。

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私が、各種イベントの復活の風潮を「嫌らしい」(はっきり言えば「汚らしい」)と考えるのは、社内運動会、職場旅行が、会社に業績に資するらしい、ということが分かった

「後」で、

各企業が動き出しているからです。

90年代前の社内運動会、職場旅行には、「職場の和」という目的(名目)があったとは言え、そこに

「金の匂い」

は、一切なかったように思う。

そこにあったのは「職場の和」という価値観と、「私人としての個」としての価値観の相違であり、それは、(今になって考えれば)それなりに、美しい激突であったようにと思うのです。

しかし、ここに「金の匂い」が入ってきたら、どうなるか。

企業が、利潤を目的として、飲み会、社内運動会、職場旅行を命令したら、それは業務命令です。

私は、自分の価値観に反して、管理職の立場から、飲み会に参加し、運動会をサポートし、職場旅行の企画を部下に命じることになるでしょう。

そして、自らも、楽しくもない酒を飲み、酔ったふりをして、叫び、騒ぎ、― 多分、相当に疲労し、憔悴する。

そして、最後に、私が「うつ病」になる、と。

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この病気は、何と命名されるのでしょうか。

「新・新型うつ」ってところでしょうか。

http://www.kobore.net/cgi-bin/diary/read.cgi?date=20120128