所用があって、実家(名古屋)に帰省していました。
姉と事前に錬りに練った施設回り等の処理を遂行するのに、親父の車を利用したのですが、CDから流れてくる曲に閉口していました。
♪愛しても、ああ、愛しても、あーあーあ、人の妻~(「さざんかの宿」という歌らしい)
『人の妻に横恋慕するなよ。最初から対象リストから外しておけよ、気持ち悪い奴だな』と思う私は、たぶん、条理を越えた恋愛を、一生理解できないまま死んでいくタイプです。
1ミリたりとも、残念とは思いませんが。
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「そんなCD、スイッチを切って聞かなければよいだろうが」という、あなたは正しい。
しかし、私はそのCDコンポのスイッチをオフにすると、多分、そのことを忘れたまま、車を降りることになります。
そして、親父は、CDコンポのスイッチを入れる場所がわからないまま、これからずっとその、CDを聞くことができないままになります。
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「デジタルデバイド」という言葉がありますが、本当に機械が使えない人の、その「驚異的な使えなさ」に、そのような言葉を使っている人は、全然分かっていないと思うのです。
敢えて言うのであれば
―― スイッチデバイド
スイッチの持つ意味を理解する為には、少なくとも、ある程度のマルチメディアの知識が前提となります。
このメディアに対する知識なしに、「トラック」「ダウンロード」「メモリポッド」などはもちろん、「音楽をファイルで渡す」という観念を理解することなど、絶対に無理です。
特に老齢による各種障害が伴った場合の、「スイッチデバイド」は、『冗談抜きで』命に関わります。
電話がかけられれば上級、下手をすると居間の電気の切り方、ストーブの消し方も、記憶から消え去るからです。
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話を戻します。
私が父の車の環境を変えない為には、いっさいの装置に手を触れないことです。
つまり、
『人妻への思慕の念を大声で謡いあげる、変態の主張』
を、私は我慢して聞き続けなければならかったのです。