朝日新聞が2/11日の記事で、
「首輪に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた」
と掲載し、筆者がネット上でかなり叩かれています。
勿論、正解は、
「首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのプログラムのソースコードが記録されていた」
ですし、もっと簡単に、
「首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた」
でも良いのです。
にも関わらず、わざわざこのような記載をしたということは、
――「「ソースコード」という名前のウイルスプログラム」が存在すると勘違いしていた
と推認されても仕方がなく、叩かれるのはもっとものように思えます。
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そこで、今回、私は、この筆者の弁護を試みてみたいと思います。
技術コラム屋として、日々、バカスカ叩かれている我が身では、この筆者を守らずにはいられないのです。
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仮説として、この筆者は、
プログラムには「ソースコード」と「バイナリコード」の2種類があって、このパソコンには、容疑者が犯人であると断定しうる「ソースコード」という証拠があった
と主張したくて、この記事を書いたのかもしれません。
もしそうなら、これは誠に素晴しい。ソフトウェアの仕組みまでをも同時に解説しようとしたと評価できます。
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しかし、正直この理屈では苦しい。
「「ソースコード」と呼ばれる」の、「呼ばれる」で、ダメなことがバレてしまうからです。
検証してみましょう。
■「ホゲホゲ」と呼ばれる食べ物が、棚に隠されていた。
これは意味が通りますね。名称「ホゲホゲ」という食物、と認定できます。
■「バナナ」と呼ばれる食べ物が、棚に隠されていた。
なんだこれ? っていう文章ですよね。
単純に「バナナが、棚に隠されていた」
と書けば済むことです。
「ソースコード」の解説となるフレーズがどこにも出てこない状態で、「呼ばれる」と記載されれば、当然「名称」を言っていると解釈するのが自然です。
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さらに、検討を続けます。
文字数の問題があったのかもしれません。限定された文字数で記事を書くことは、大変なことなのです。
この筆者は、「ソースコード」などとは言わずに、「容疑者自身が自作したプログラム」と書きたかったに違いない。
よし、では、当てはめをしてみよう。
■修正前
「首輪に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた」
■修正後
「首輪に仕込まれたメモリーカードには、容疑者が自作したと考えられる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた」
・・・文字数、一文字違いかあ。
これなら、ITの素人からプロまで、全員が納得できる記事として、完成しているよなぁ。
朝日新聞社で記事を執筆するような方が、私でも思いつくこの程度の文章が書けない訳がない。
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【結論】
この筆者の記事は、どのように善意で解釈しても、
「プログラムの名前が「ソースコード」である」
と誤認していたと考え得る。
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技術コラム屋として、この朝日新聞社の筆者を弁護したくて、書き始めたのですが、逆の結論になってしまいました。
お役に立てなくて、本当にごめんなさい。
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さて、この「ソースコード」と「バイナリコード」の話ですが、詳しく知りた い方は、この記事が大変参考になりますので、ご一読下さい(と宣伝する)。