いつでも不思議に思っているのですが、
「パソコン設定サービスのNPO法人」
というのが登場してこないのは、何故でしょうか。
私は、日本の最南端にある嫁さんの実家のパソコンに、自宅から操作できるエージェントを設定して貰いたいのですが、それができずにいます。
それさえできたら、嫁さんの実家のパソコンは、私の家から、自由自在にメンテナンスしてみせます。
嫁さんの実家では、ギガビットの光回線が、満足に使用されないまま放置されており、こういう状態が、なんとも我慢できないのです。
例えば、どの地方であっても、大学生などゴロゴロいるはずなのです。
「パソコン設定サービスのNPO法人」が、各地区の大学生のアルバイトを組織化して、パソコン設定サービスを開始すれば、どれだけのパソコンを扱えない人々を救うことになるだろうか ―― と思っていたのですよ。
あの、朝日新聞の記事(あの「オープンソース」の記事)が出るまでは。
-----
もしかして、私は、かなり大きな勘違いをしていたのかもしれない、と思い始めています。
世間のコンピュータリテラシーは、私が想像しているよりも、遥かに低いのではないか、と。
「下調べ」や「裏取り」を行うことが重要な業務である、新聞社の人間ですら、びっくりするような間違いを書くことがある ――
この事実は、「勘違いをした側」ではなく、「勘違いを指摘する側」が間違っていることを示しているようにも思えます。
もし私が、世間一般のコンピュータリテラシを、正確に認識できていないのであれば、エンジニアとして、完全に失格と言われても、仕方ありません。
-----
話を戻します。
私は、大学生(の中でも得に理系)であれば、パソコンなんぞサクサクと扱えて、各種設定や、機器の増設も思いのまま、と本気で思っていました。
ですから、
■軽音サークルは、MIDIを軽々と扱い、少ない人数でも迫力のあるバンド演奏をして、
■漫画研究会は、似顔絵を書くのに、PIXIAやSAIをインストールしたパソコンを使って、サクサクと書いたものをプリンターから印刷し、
■映画研究会は、MMD(ミクミクダンス)に自作のキャラクタテンプレートをインストールして、映画を作成している、
と、勝手に信じていました。
先日、早稲田大学の学祭に行ってきたというお話を致しました。
私は、アート系サークルをくまなく探したのですが、パソコンを使った創作物は、私が見た限り、たったの1点、
美術サークルが"SAI"で作成した絵、一枚のみでした。
(勿論、見逃している可能性もあります)
若い人であれば、コンピュータリテラシーが高い、というのは、私の思い込みなのかもしれません。
-----
しかし、そうではなく、もっと怖い理由に因るものかもしれないと考え始めています。
今の若者は「デジタルの表現力に限界を感じつつあり」そして、「デジタルとかアナログという区別自体に意義がない」と、気がついてしまったのかもしれません。
■あのクソ重いiPadを持ち歩くアホらしさに気がつき、文庫本をポケットから出すスマートさに気がつき、
■電子手帳よりも紙の手帳の方が、よっぽど拡張性に優れており、特にアイデアを創成する場合には、電子機器など逆に邪魔になるということに気がついてしまい、
―― もし、そのような価値観の相転移が、すでに行われてしまったとすれば、
それは、ヤバい。相当に、ヤバい。
我々、ITエンジニアは、「デジタル化」なるものが「裸の王様」のような価値観で支えられていることを知っています。
デジタルが、創作の本質ではないことを、ずーーっと前から知っています。
しかし、そのことについて沈黙を続けています。おそらく、多分これからも。
なぜか。
世間がそのことに気がついてしまうと、我々ITエンジニアの「飯のタネ」が失われるからです。
ですから、私はこの事実を決して開示することなく、隠し続けなければならないのです。
-----
神さま。どうか、誰にも気がつかれませんように。
あと、たったの十数年でいいんです。
なぜなら、私が退職した後のITの世界がどうなろうが、私の知ったことではありませんから。