私はITに関わっている人間ではありますが、ITに関するコマーシャルが嫌いです。
特に、最近では、タブレットコンピュータ(iPadとかNexus7等)、スマホのコマーシャルも、見ていてムカムカします。
タブレットコンピュータで、簡単に絵を描いて、それを別の人が脚色をして、音楽を付けて、世界中の人がそれを鑑賞する。
それを飛び跳ねて、踊りながら、とか。
―― 笑わせるな
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そもそも、これらのコマーシャルは、「創作」をいう行為を舐めている。特にITが絡 む創作の鬱陶しさを、全く理解していない。
第一に、絵を書くドローツールが面倒くさくて、使いこなせん。
写真の表現変換する為のオプションが、どれだけあるのか分かっているとも思えない。
音楽作成のツールなんぞ、挫折せずに使いこなせる素人は、100人挑戦して、せいぜい1人残ればいいところ。
そして、これらのコマーシャルが決定的にダメなところは、全てそれぞれの分野での創作力(作画、作曲、その他)を持っている人間が、絶対的少数であるという事実を無視しているとこにあります。
法律的にも問題があります。
等は、人の著作物に勝手に手を入れて、他人にばら撒いているようだが、原著作者の許諾を得てから、そういう創作活動やっているとは思えない。
明かに、著作権法21、27、28条、加えて肖像権も含め、違法行為の奨励コマーシャルである。
機能面から言えば、嘘八百とはまさにこのこと。
大抵、無線LANやキャリアの設定で、半日はかかるし、ツールが使い熟せるようになるころには、その端末は古くさくて、遅くて、ようするに時代遅れになっている。
IT関係の機器(以下、デバイスという)とは、畢竟、そういうものなのです。
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全くもって、パソコンの創成期から、今に至るまで、実に30年も経過しているにも関わらず、よくもまあ飽きもせず、あのような、あのSFのような、現実感のない、荒唐無稽な、馬鹿げたコマーシャルを作り続けているものだ。
広告業界の人間には、創作力がないのか?
あるいは、スポンサーは、いまだに、あのような幻想コマーシャルが消費者に受けると、本気で信じているのだろうか?
そして、(考えたくもないが)消費者は、まだ、デバイスに「魔法の箱」の幻想を持っているのだろうか。
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「iPad、iPhone、iPodが使いやすい」といっていあなたは、たまたまデジタルデバイドピラミッドの頂上近くにいただけの話です。
iPadが真に使いやすいのであれば、少くとも、経済大国である我が国の国民全員が購入しているハズである、と考えられないでしょうか。
我々人類は、確かに創作に喜びを見い出せる生物学的にはちょっと気持ちの悪い生物ではありますが、「面倒が嫌い」という点では共通しているのです。
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少くとも、私は、いつでも「もうすぐ・・、もうすぐ・・、きっと楽になる」と呟きながら、デバイスを使い続けてきたのです。
―― いい加減に目を覚ませ、消費者たち。
―― 30年間も騙され続ければ十分ではないか。
デバイスが使いやすかった時代は、未だかつてなく、そして将来もない。
一切ない。
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では、デバイスない時代に戻れば、幸せになれるかといえば、そういう訳でもないのです。デバイスの便利さと、不便利さは、結局相殺しあっているからです。
相殺しあっているということは、デバイスを使えないことは、一方的に不利になっていくことでもあります。
デバイスの有無は、プラス側には働かないが、マイナス側には確実に働く。
こういうものを、一般的には「素晴しいもの」とはいいません。
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タブレットコンピュータ、スマホのコマーシャルも、見ていてムカムカするのは、そこに、素晴しい未来があるような幻想を見せるから、ではありません。
いや、コマーシャルなのだから、「素晴しい未来があるような幻想」を見せるのは、それが目的であることは、分っているのです。
私が腹を立てているのは、その「素晴しい未来」のビジョンが、ここ30年間、1ミリメートルも動いていないという、コマーシャル提供者側の懈怠、怠慢にあります。
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私なら、
■Cookpadのレシピを表示しているタブレットコンピュータを、ガムテープで壁に張って、料理を作っているところ(私のことだ)
■ジブロックにタブレットコンピュータを入れて、風呂で本や映画を見ているところ(私のことだ)
■子供の勉強を見ているフリをしながら、子供からは見えなく角度で、タブレットコンピュータで、水着の若いネーチャンを見えているところ(私のことではない)
という画を使って、コマーシャルを作る。
これこそが、タブレットコンピュータやスマホの革命的パラダイムなのであるからです。
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踊りながら、写真を取って、絵をかいて、転送して、音楽を付ける、だぁ。
笑わせるな。
アップルでも、マイクロソフトでも、グーグルでもいい。
たった一人でいいから、その人物を、私に紹介してみせろってんだ。