前々から一度やってみたかった「過去の予想を、今、検証する」をやっています。
使っている資料は 「ITロードマップ2007年版 情報通信技術は5年後こう変わる! (野村総合研究所)」です。
あらかじめ、お断りしておきますが、これは、本の著者を貶めるという意図はありません。
というか、我々も、このような本をベースに、色々な検討をしてきたのですから、そのような意図が入る訳がありません。
「未来予測というのがいかに難しいか」ということを、私が実感したかったのです。
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(1)NGN → ○
「NTTの光フレッツ」が「それだ」と言われれば、当っているのでしょうが、この著書に記載されているような華やかなアプリケーションは、今に見あたりませんですね。
(2)スマホ → ◎
これは当っていますね。業務端末化やGPS利用などは、ドンピシャでしょう。
(3)自律運用技術 → ×
SDN(Software Defined Network)とか出てきているけど、自律運用には遠く及ばないような気がします。
(4)BI(ビジネスインテリジェンス) → ○
ビックデータに関する言及があり当っているようにも思えますが、「ビックデータ」自体がどうなるか分からないので、私的には、判断留保ですね。
(5)マーケティングプラットフォーム → ◎
プラットフォームではないかもしれませんが、AmazonやらYahooやらが、デマンド広告を普通にやっていますから、当ったと言えると思います。
(6)リッチクライアント → ◎
最初「クライド」の逆の予想と思ったのですが、記事をよく読んでみると、「Webの表現力」の話だったので、これも当りですね。スマホに乗っているクライアントと考えると、よく理解できます。
(7)SOX法対応 → ?
どうなっているのか、全然知りません。「リーマンショックで日本版SOX法立ち消え」という記事があったけど、本当になんのことやら。
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当初、半分も当たっていないだろうと思ったのですが、全体として「悪くない的中率」と感じました。
競馬新聞よりも良いかもしれません(一度も読んだことがないので分かりませんが)。
少くとも、位置情報サービスの隆盛予想時を「10年」外した私と比べれば、凄くエライと思います。
そうですねえ、2002年くらいから「来年はGPSによる位置情報サービスがブレークですよ」と10年間も言い続ければ、
―― 「江端 = 狼少年」 と思われても、まあ、仕方ないです。
しかし、「狼少年」も疲れたのですよ、10年も叫び続けることには。
年も取りましたし。
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Google社のように、日本人の気持ちを考えずに、例えば『街中の写真を取り捲る』という傍若無人の振舞いをする、ほんの少しの勇気があれば、と思わずにはいられません。
「まずやってみる」→「問題があれば、その時に考える」という思考形態は、我々には、ありません。
「まず提案する」→「法律はどうだ、世論はどうだ、運用はどうだ、売り上げはどうだ」→「もう、疲れたよ。やめよう」と、いう流れで、
一体これまで、幾つの「若いやる気」と「野心」が潰されてきたことか。
もちろん、スピンアウトの覚悟がない我々の側にも責任があります(これについては、きちんと纏めますので、今日はここまでで)。