我が家では、私を除いて「小沢一郎」という人物の評判が悪いです。
理由は『なんか悪そうなことをしていそうな顔』という、なんともはや、身も蓋もない理由です。
どうも、小沢一郎さんは、多くの人からこう思われているフシがある。
と、いうか間違いない。
しかし、『なんか悪そうなことをしていそうな顔』で、推定有罪となるように司法が機能したら大変困るんです。
特に「私」は。
私は、愛想悪いし、口悪いし、顔も怖い ―― まあ、ハンサムではあるが。
まあ、「権力」と「能力」(と「人望」と「信頼」と「誠意」)がないという点で、必要以上に人から苛められないという利益は享受しているとは思いますが。
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私は、陸山会事件などを、NHKのニュースで見る程度の関心さで見ているだけなのですが、なんとなくこの裁判は、最初から「ダメダメ」だなという感じがしています。
事実がどうであるか分からんし、検察審査会の不起訴を2回もひっくり返してまで、起訴議決をしたということは、少なくとも法律のプロ集団が「闘うだけ金の無駄」と判断した訳です。
裁判とは、「紛争を解決する手段」ではありますが、「正義を実現する場」ではないですからね。
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私が、民法の損害賠償や刑事罰の成立要件や、刑事訴訟法の手続について始めて理解した時に、絶望的な気持ちになったことは何度か書きました。
それと、「本証」と「反証」を理解した時も、驚きました。
「本証」は、裁判官に事実についての確信を抱かせること。
「反証」は、裁判官に真偽不明の状態をもたらすこと。
「本証」は原告の立証責任であり、「反証」は被告が主張すれば足ります。
例えば、レイプ事件の場合、レイプの証拠を被害者が完璧に提出しなければなりません。
レイプされた直後の自分の写真を、自分で撮影し、
レイプされた様子を詳細にメモし、
レイプされた直後に残された犯人の体液を自分で収集し、
事件の悲劇そのものと匹敵するような、このような目も眩むような壮絶な「証拠保全」を、冷静に成し遂げうる女性が、地球上に存在し得るとは思えない。
しかし、これらの証拠が揃わないと「本証」は成立しないのです。
「泣き寝いり」すれば刑事裁判自体が成立しません。
(※上記は、若干内容を脚色しております。被害に合われた方は最速で警察に連絡して下さい。被害を受けた直後が望ましいです。あなたが望まない限り、公にはならず、裁判にもなりません(親告罪)。それは後でゆっくり考えれば良いのです)
これに対して、すなわちレイプ犯の被疑者の「反証」は簡単。
「その日のことは忘れた」
「その事件の場所にいる理由がない」
で十分。
「その事件を行っていない」ということを立証する必要は、絶無なのです。
「別の場所にいた」というアリバイがあれば確実に無罪、アリバイがなくったって、公判は維持できます。
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小沢さんは、悪いことをしているかもしれないし、そうでないかもしれない。
それは私には分からないし、興味もありません。
それに、私は小沢さんが、『なんか悪そうなことをしていそうな顔』とも思っていません。
疲れている時の私の凶悪な顔に比べれば、全然マシです。
いずれにしても、原告には「本証」となるべき証拠が必要で、その立証ができない限り、小沢さんは無罪となります。