ネガティブデータという言葉を御存じでしょうか。仮説を覆すデータのことで、簡単に言えば、失敗データです。
こういうデータが、下手をすると成功データよりも貴重であることは、その分野の当業者の方であれば、ご存知だと思います。
なにしろ、特許出願では、ネガティブデータを引例として、特許出願の拒絶ができるという考えもあるくらいです。
我が国にしたところで、打ち上げ費用だけで100億、ロケット本体の費用が1500億もかかるロケット発射に何度失敗し、そして、その失敗データが、どれだけ次のロケット開発に貢献してくれたか ――
その効果は図り知れないものがあります。
----
『<北>がミサイル実験を「失敗」した』と繰り返し報道されていますが、開発者の観点から言えば、当然に必要なプロセスです。
『<北>がミサイル実験を「実施」した』という事実が問題なのです。ロケットが爆発するまでのデータは取得できたハズだからです。
私としては、『<北>が失敗を認めた』ということの方が、はるかに脅威に感じます。
彼等は正しい技術開発のアプローチを歩み出したのかもしれません。
このような正しいアプローチに基づく技術開発は、いずれ必ず成功するからです。