以前、落語で、中国のタクシーに乗った時の話を聞いたことがあります。
タクシーの支払いの時に「76元」を請求されたので、100元札と1元札6枚、合計「106元」を、タクシーの運転手に出した所、
『私は76元と言ったのだ。この100元札1枚で十分ではないか』と言われて、「あんたはアホだなぁ」という風な表情で嘲笑われたそうです。
―― アホはお前だ~~!!
と叫びそうになったとか。
(ただし、この話、多分20年以上も前の中国の田舎のお話です。この話をもって、隣国の人を貶めてはなりません)
まあ、「外国の田舎のほのぼのとする笑い話」だよね ―― と思っていたのですよ。
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以前、私の同僚が、茨城にある工場に行った時のことを話してくれたことがあります。
タクシーの支払いの時に、「660円」と請求されたので、「1160円」を出したら、タクシーの運ちゃんに、酷く怒られたのだそうです。
「どうして、お前は、そういう面倒なことをするんだ!」
と、怒鳴られたとか。
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「釣り銭の枚数を最小にするように、事前にコントロールする」というこの金銭授受方式は、日本のどこでも普通に行われていることです。
日本人の暗算計算能力が、高いから可能となる方式でもあります。
ですから、この方式を使って「怒られる」のでは、私も困ります。
私も、その工場に行くのにはタクシーを使いますので、最近は、タクシーに乗った後、タクシーの運ちゃんを観察して、その気質やら知性やらを気にするようになりました。
いらん心配が増えて面倒です。
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ただ、ですね。確かに、年を取ってくると、計算能力を含めて全ての能力が劣化しているのは、確かです。
私自身も実感していますし、私の両親を見ていると、本当に切ないくらいで、時々、涙が出そうになることもあります。
これからの時代は、サービスを提供しているご高齢の方のプライドを傷つけずに、気持よく働いて貰う為に、サービスを受ける我々の側の「配慮」が求められる時代なのかもしれません。